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2018.09.27

♯市場・トレンド

冬に仕事をし、夏は休む。フリーランス歴10年を超えた男性の生き方

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クラウドソーシング会社大手のランサーズ(東京都渋谷区)によると、フリーランスの経済規模が2018年に20兆円を超え、就業者の5~6人にひとりがフリーランスとして働く時代になった。しかし、「収入の不安定さ」や「将来の不安」など、フリーランスが抱える悩みは多い。そこで今回は、フリーランス歴10年以上の、都内で働く48歳の男性、三田晃一さん(仮名)に、暮らしの中で抱える不安を聞いた。

遊びと仕事のバランスが重要

「夏は遊んで、冬に働く。そんな生活をずっと送っています」

開口一番、三田さんはこう言った。

童話“アリとキリギリス”のキリギリス役を地で行く男だ。現に、この夏は1カ月間、家族と共に沖縄で過ごした。

三田さんには妻と14歳になる子どもがいる。2年前までは一緒に暮らしていたが、子どもが小学校から中学校に進学する際、学区を越えて行きたい中学校があるからという理由で、妻と子どもとは別居し、単身で賃貸マンションに住んでいる。

仕事は自宅のマンションで行う。契約している企業、3社からWeb上で仕事を受注し、自宅で作業を進め、Web上で納品している。主な業務は、制作ディレクションとライター業だ。そのため、一日中家の中で仕事をすることが多く、一歩も外に出ない日もあるという。仕事は基本的に1週間から長くても3カ月程度で納めることのできるものを選ぶことで、時間の調整がしやすく、夏の間を丸々休むなんていうこともできる。その代わり、遊ぶお金を捻出するため、冬は朝から晩まで毎日働くという。

自宅は、20㎡のワンルームで、家賃は7万円。50%を経費として計上し、出来るだけ家に関する出費は節約する。家賃を経費として認めてもらえるよう、家具で区切って仕事スペースを確保することがポイントだと三田さんは言う。

「ネット環境があれば仕事ができるので、もっと広い家に住みたいとか、家にこんな設備が欲しいとか、そういう希望は何もありません。持ち家も欲しいとは思いません。何かあればすぐに引っ越すことのできる賃貸の方が好きです。トレーラーハウスやキャンピングカーにも住むことだってできます」

資産形成で将来の不安を払拭

しかし、フリーランスで働くことの悩みはある。クレジットカードの審査が下りなかったり、ローンを組めないために大きな買い物ができなかったりすることだ。ただ、これは「仕方がないこと」と割り切っている。それ以上に、時間の融通が利き、まとめて休みを取れることにメリットを感じている。

また、三田さんは将来の不安としてお金の問題を第一に挙げた。そこで、その不安を少しでも払拭できるようにと、資産形成は真面目に行っているそうだ。三田さんはフリーランスとして働く傍ら、株に投資している。実際、フリーランスとしての収入は約400万円で年収の50%程度。残りの50%は株で稼いでいるという。また、空いた時間はすべて税金などお金の勉強に費やし、1円でも多く資産を増やそうとしている。

今後の目標は、体が動くうちに遊べるだけ遊んでおくこと。そのために今はしっかり資産形成をしながら集中して短期間で働くことだという。「こんな生活でも、なんとかなりますよ」と、今後も今の生活を崩すことなく、キリギリスのように遊んで暮らしたいという。

日本には今、1,119万人のフリーランスがいる。フリーランスで働いている理由として挙げられるのは、三田さんのように「時間の融通が利くから」ということ以外にも、「お金が稼げるから」や「自分の好きなことを仕事にしたいから」などがある。人によって理由は様々だが、彼らには共通点がある。それは、仕事の多くを自宅でしているということ。つまり、一日の大半を家で過ごしているということなのである。

三田さんはネット環境さえあれば家なんてなんでも良いと言う。しかし逆を言えば、ネット環境が整っていない家には絶対に住むことはない。

今、日本の就業者数の5~6人にひとりはフリーランスだ。極端に言うと、1棟12室の賃貸アパートならば1人か2人はフリーランスが住んでいるという計算だ。今後もますます増えていくフリーランスの実態を読み解くことは、新しい入居者募集を考える上でキーワードになっていくだろう。

(Hello News編集部 鈴木規文)

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