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2018.10.18

♯シェアリングエコノミー

シェアで変わった現代人の持ち物事情

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一昔前は、社会人になれば“車”、子供が生まれれば“ベビーカー”を購入するのが当たり前だった。若者の所有欲の低下やシェアサービスの登場などにより現代人の「持ち物」に変化が生まれている。どのようなシェアサービスが出てきているのか?そして、どんなものが所有されなくなったのか?紐解いていく。

所有からシェアへ

シェアリングエコノミーという言葉を頻繁に耳にするようになった。日本語に直訳すると「共有型経済」で、モノや 場所、空間を必要な場面、必要な時のみ共有して使用する経済活動やビジネスのあり様を指す。市場規模は、2兆6300億円とも言われている。モノが溢れかえる現代社会においては、“所有”するのではなく“シェア”するという考え方が主流になりつつある。

わかりやすいのが車だ。一昔前であれば、車を所有することが一つのステイタスになっていた。しかし、特に都心に住む若者たちは、車を持たず、免許も取得しない。そこで「ちょっと遠出したい」「大型のものを買って運びたい」という時にだけ利用する“カーシェアリング”が、2002年から日本に登場した(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ)。図表①のグラフ見てもわかるように当初はなかなか浸透しなかったが、2011年頃から広がり始め2016年時点で1万9717台、会員数は84万6240人と右肩上がりで上昇している。「タイムズカープラス」や「オリックスカーシェア」などの大手から「カレコ」などの独立系の会社も多数登場し、多様なサービスを提供している。

最近では、一般の人が所有する車を使っていない時に貸し出すサービスや高級車のカーシェアサービスも登場し進化している。

子育て世代で重宝されているのが、ベビー用品のシェアだ。最近は、ベビーベッドやベビーカー、チャイルドシート、ベビーバスや抱っこひもまでがレンタルできるという。ダスキン(大阪府吹田市)のレントオール事業は、事業所向けに機材レンタルを行っているが、家庭向けレンタルサービスでは、利用者の9割がベビー用品。その中でも特にベビーベッドの需要が多く、ベビーベッドだけで年間約4万8,100件(2017年4月~2018年3月)の利用があるそうだ。

ベビー用品専門のシェアサービスを提供している株式会社愛育ベビー(埼玉県和光市)は、創業45年。月平均約1500人が利用している。「ここ1年で感覚的に2割くらい利用者が増えました」と、同社の菅谷康司社長もシェアニーズの拡大を実感している。

収納にも困らず常に新作を

女性に特化したシェアサービスで、注目されているのは洋服だ。火付け役になったのは株式会社エアークローゼット(東京都港区)が提供する「airCloset(エアークローゼット) 」だ。現在会員は約16万人。定額(レギュラープラン9,800円)で洋服が借り放題になるサービスで、300ブランド以上、約10万点以上の中から1回3着ずつ自宅に送られてくる。クリーニング費用がかからず、スタイリストが服を選定してくれることが女性から指示されている理由だ。

高級バッグのシェアサービスもある。ラクサス・テクノロジーズ株式会社(東京都港区)が提供するサービス「Laxus(ラクサス)」では、エルメスやルイ・ヴィトンなど高級ブランドバッグに特化し、貸し出しを行っている。利用者は、約2万8,000点のブランドバックから好きな商品を借りることができる。サービス全体の会員数は約25万人。また、ブランドバックを所有している人が貸し出すことで副収入を得られる仕組みもあり、持っている人、持っていない人の相互のシェアサービスとなっている。

女性にとって、服もバッグも「新作を取り入れたい」「シーズンごとに変えたい」という願望が常にあるものだが、収納場所がないことが頭の痛い問題となっていた。これらのシェアサービスを活用することで、置き場所の悩みもからも解放されることになる。

最近では家具のシェアも登場した。部屋の印象も左右し、機能性も必要になってくる家具は、ニトリやIKEAで低価格でおしゃれなものが手に入る時代になった。Elaly(エラリー・東京都港区)が提供している「airRoom(エアールーム)」では、月額500円からブランド家具をシェアできるという。7月からβ版を運用し、10月から本格稼働したばかりだが会員数は、1,000人を超える。1年間で2,000人の会員獲得を目指すという。

ここで紹介したシェアサービスは、ほんの一部で空きスペースや自転車など数多くのモノがシェアされている。一時的に利用するモノや季節感のあるモノなど所有せずにシェアするという考え方が日本でも抵抗なく受け入れられていることがわかる。車や洋服、バッグ、ベビー用品を所有しなくなったことで、住宅の収納スペースのあり方も少しずつ変化していくかもしれない。

(Hello News編集部 山口晶子)

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