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COLUMN

コラム

2018.10.25

インタビュー

働く女性の住まい観

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ライフステージによって住み替える 

一般的に家を住み替える時は、進学や就職、結婚といった人生の節目がきっかけになることのほうが多いのではないだろうか。つまり、その時のライフステージに合わせて、住まいを変えるということだ。

では、女性たちはどのような基準で住まい選びをしているのか。今回は7人の働く女性に集まってもらい話を聞いた。

まずは賃貸に住んでいる人に現在の物件を選んだ経緯を聞いた。

夫と娘の3人で埼玉県内の賃貸住宅に暮らす理恵さん(43)は、紆余曲折を経て持ち家から賃貸に移り住むこととなった。選んだ条件は「立地」。現在住む賃貸住宅は、子どもが学校に通いやすく、理恵さんの実家に近い立地を選んだ。

実は、現在の家に引っ越す前は、二世帯住宅に住んでいた。夫が長男ということもあり、結婚3年目に二世帯住宅を新築し、義理の両親と同居を始めた理恵さん夫妻。義理の両親とはそれなりに仲はよかったが、専業主婦だった理恵さんの働きたいという思いを理解してくれなかったそうだ。その後、次第に折り合いが悪くなり、理恵さん夫妻が二世帯住宅から出る形で6年間の同居生活に終止符を打った。

ちなみにこの二世帯住宅は、理恵さん夫妻と義理の両親とが折半で購入したため、まだローンが残っている。そのため、現在住んでいる賃貸住宅の家賃を払いながら二世帯住宅のローンも払い続けている。家賃は2倍かかってしまうが、仕事も再開できたことで精神的にも開放されたそうだ。

移り住みやすい賃貸住宅 

会社経営をしている独身の陽子さん(仮名・40)は、上京以来21年間賃貸住宅に住み続けている。今の物件を選んだ理由は、不動産会社を経営する知人から「お値打ち物件」があると言われ、駅から徒歩3分だったことに加え、オフィスからも近かったため、引っ越すことに決めたという。

自分は“飽き性”という陽子さんは、定期的に部屋を変えられるよう、この先も賃貸住宅に住み続けたいと考えている。その証拠に21年間で引っ越した回数は19回。家を買えば資産にはなるが、それでも持ち家を買う気になれないのは、ひとつの場所に縛られてしまうこと。また、買ったとしてもその後に何かとお金がかかるからだという。

「築34年になる実家は、修理ラッシュです。屋根の張替えやトイレの交換などの老朽化によるものから、バスタブが深すぎて高齢の父にはまたぎにくいといった問題も出始めています。何カ所か直したら500万円なんてあっという間です。結局、持ち家だとしても買ったら終わりではなく維持費がかかります」(陽子さん)

一方、夫と二人暮らしをしている裕子さんは、3LDK の戸建て賃貸に越してから、快適な生活が送れているという。結婚したばかりの頃は、独身時代に夫が住んでいた1LDKのアパートに裕子さんが転がりこむ形で住んでいた。しかし、築古で冬場は寒く手狭だったこともあり、駅から徒歩10分圏内で広さもあり、4年の定借で家賃が手頃だったことから今の物件を選んだ。

続いて、役者とイベント関連の仕事をしている智子さん(仮名・39)は、都内で15年間一人暮らしを謳歌していた。しかし、両親2人の介護をしなければならなくなり、埼玉県にある賃貸住宅で同居することになった。自宅からオフィスまでは電車で片道1時間半かかり、不便を感じつつも介護があるため、当分はそこで暮らすつもりだという。

財産になる持ち家 

では、持ち家派はどうだろうか。持ち家を選んだ女性は“安心”や“保険”的な要素で家を購入するケースが多いようだ。

「離婚がきっかけで、持ち家を購入することに決めました」と話すのは、働きながら子育てもこなすシングルマザーの久美子さん(仮名・40)だ。ローンを組んでの持ち家購入は、「もしも私に何かあったときのために」と一人息子の身を案じての一大決心だった。いざとなったら、すぐに貸せて売れるようにと立地を重視。駅から徒歩10分圏内、近所にはショッピングモールもあり、さらに高速道路も目と鼻の先にあるという好立地の分譲マンションを探し当てた。

「持ち家は財産という安心感があります」と語るのは、夫と二人の子どもと共に2001年に購入した3LDKの分譲マンションに暮らす直美さん(仮名・52)。賃貸は毎月家賃を払っても資産にならないので、断然分譲派だという。

ただ、子どもが高校、大学と成長してからは直美さんの部屋を息子と娘に譲り、それぞれの部屋を作ったという。そしてその日以来、直美さんはリビングで寝ることを余儀なくされ、手狭感は否めないという。とはいえ「ベランダが広いので部屋の狭さはあまり気になりません」と続ける。部屋が70㎡なのに対し、ベランダは44㎡あり、人を呼んでバーべーキューできるほど広く、気に入っているという。

一方、生まれてこのかたひとり暮らしをしたことがないという編集者の愛さん(31)は、埼玉県在住で、戸建て(両親の持ち家)に両親と3人暮らしをしている。職場は都内にあり片道1時間半と少々遠いが、実家のほうが将来に向けての貯金がしやすいという理由から引っ越すことなくそこから通っている。

入居者も戸惑うオーナーとの距離感

管理会社に任せっきりにするオーナーがいる一方で、自らが積極的に動いているオーナーもいる。あるオーナーは、入居者が退去する時にアンケートを書いてもらっているという。そして「この場所に棚があったら便利だったのに」といった声に耳を傾け、実行に移す。

また、別のオーナーは、入居者と交流することで気軽に声をかけてもらえるような関係性を築き、ちょっとした不満やエアコン買えてほしいといった要望まで、直接言ってもらえるようになった。その結果、クレームがゼロになり、滞納もなくなったそうだ。

しかし、世間一般には入居者と交流のあるオーナーはごく一部なのではないだろうか。

前出の理恵さんは、オーナーとは“会えば会話をする仲”ではあるが、遠慮してしまい本音は言いにくいと感じている。「最近エアコンの調子が悪いなと思っても、不満やクレームを直接伝えるのはよく思われないかなと思って言いだせません」と話す。

交流ひとつで印象は大きく変わる

両親の介護をする傍ら役者をしている智子さん(仮名・39)は、オーナーに対する印象をこう説明する。「入退去の時は不動産会社の人としかやり取りをしないし、基本的にはオーナーに会う機会ってほぼないですよね。以前、水漏れ被害に遭った時は連絡をしてもすぐ対処してもらえず嫌な思いをしました。貸してやって当然と思っているような印象がありました」と、オーナーに対してあまり良い印象を持っていないという。

ところがその後に引っ越したアパートのオーナーとの出会いが、今まで抱いていたイメージを一変させた。芸能関係の仕事をしている智子さんは、職業柄、入居審査が通りにくい。

そんな時に「家賃保証会社を通したら全く問題ないですよ。テレビに出る時はぜひ教えてくださいね」と快諾してくれたのだ。智子さんはこう続ける。「その言葉を聞いてすごく親切な方なんだと思いました。同じアパート内にオーナーが住んでいたこともあって、テレビに出演する時は報告しに行くようになったんです」と声を弾ませた。最終的には智子さんの出演するライブも見に来てくれる仲になったそうだ。

オーナーの存在が入居の決め手になることもある。「初めて一人暮らしをした時は、両親からオーナーの家の隣だからこの物件にしなさいと入居を決めたことがあります。何かあった時に頼れる人がそばにいるというのは両親を安心させるみたいです」と話すのは、記者の裕子さん(仮名・38)だ。

なかにはオーナーとは関わりたくないという入居者もいるだろうが、オーナーの顔が見えていることで、安心感を与える効果が期待できるのではないだろうか。また、普段は見えない存在だからこそ、工夫次第で入居者がオーナーに抱くイメージを変えられるという見方もできる。

住み手を意識する

今回は、家族構成や立場の異なる7人に話を聞いたが、実に様々な声が出た。そして、その時々のライフステージによって、住まいに求められる要素は変わり、状況に応じて住み替えを行っていることがわかった。日々の悩みや問題を抱えつつも、よりよい暮らしを求めて住まい選びをしている。

大多数のオーナーは、入居者と直接話をするという機会はないだろう。しかし、一歩踏み込むことで、入居者からの率直な意見を聞くことができるかもしれない。そして何よりも、部屋を貸す時はその物件のターゲットになる人たちが求めていることを一度考えてみてはどうだろうか。

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

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