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COLUMN

コラム

2018.07.26

不動産会社向け

米軍基地周辺の不動産事情

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一般物件と米軍向け物件の違い

軍港の町として栄える神奈川県横須賀市の米軍横須賀基地では、所属する米軍関係者1万4731人のうち、3532 人※が基地の外に住む。 同市で米軍向けに賃貸住宅の仲介・管理などを行う、太陽ホーム株式会社ベース前店の店長・パットン孝子さんに事情を聞いた。

同社はもともと日本人向けの不動産会社として30年前から営業していた。しかし、15年前に入社したスタッフの話がきっかけで米軍向けの賃貸住宅の存在を知り、米軍向けの支店を開設。当時は基地周辺と言えど、米軍向け賃貸住宅の認知度が低く、扱う不動産会社は少数だったという。現在、認知度は上がったが、英語で対応できないことを理由に米軍向け賃貸住宅を扱わない会社もある。同社では英語での対応はもちろん、店頭掲示の物件情報も英語表記にしている。

米軍向けに住宅を貸す場合、軍が提示する基準を満たす必要がある。具体的には、「階段への手すりの設置」「駐車場の完備」「最低3年間賃貸できる物件であること」などだ。また、一般物件の相場より20~30%高く家賃を設定できるのは、米軍向け賃貸ならではの利点と言える。

基地内にも米軍関係者向けの住居はあるが、希望すれば基地外にも住むことができる。「住宅手当として、ひと月あたり約15~40万円程度が軍から支給され、額は階級に応じて変わります。そのため、上限ぎりぎりの額でより良い条件の物件を探します」(孝子さん)。

米軍関係者に選ばれる物件とは

では、具体的にどのような物件が好まれるのか、同じく横須賀市内で米軍向けの賃貸住宅を扱う有限会社神田屋本店代表取締役社長の小瀬村貴敏さんに話を聞いた。同社は2007年から米軍向けに賃貸仲介・管理を開始。以後、米軍専門で物件管理し、平均稼働率は90%台を維持、現在は戸建て14棟とマンション6 室の賃貸管理を行っている。

同社が今夏に完成させた3LDKの1軒家は欧米人仕様に作った。欧米人の体格に合わせ、天井の高さは通常より20cm高い240cmとし、キッチンの高さも通常より10cm高い90cmとした。リビングには欧米人に人気の高いファン付き照明を据えた。また、人気の食品ストッカーも完備。キッチンの左側は、軍から貸し出されるアメリカ製のオーブン付き4口コンロを置く場所として空けている。2~3口タイプが主流の日本では4口コンロが見つけにくいため、貸し出しを行っているという。また、畳は人気がないため、床は全てフローリングだ。

 

米軍ハウスを活かした賃貸住宅

米軍ハウスを活かした賃貸住宅1978年まで米軍基地があった街で、その特殊性を活かした賃貸住宅が話題となっている。西武池袋線入間市駅から国道沿いに1.3kmほど進むと、突如としてアメリカの街並みを彷彿とさせる一帯「ジョンソンタウン」が現れる。かつての米軍ハウスがずらりと並び、敷地面積約2万5000㎡に130世帯210人が居住する。居住者は米軍関係者ではなく日本人。現在は一般向けの賃貸となり、アクセス面では決して便利とは言えない立地にありながらも、過去3年間の平均稼働率は99%に達し、時には入居待ちが出るほどだ。

基地返還当時、近隣の大半の米軍ハウスは取り壊され、収益性の高いアパートに建て替える家主が相次いだ。一方で、同タウンを管理する株式会社磯野商会(東京都中央区)はその特異性を活かそうと、老朽化が進んだ24棟の米軍ハウスを改修し、さらに米軍ハウスを模した平成ハウスを35棟、10年かけて新築した。異国情緒あふれる雰囲気が話題を呼び、映画やドラマの撮影地となったほか、表彰(図参照)も受けた。賃貸住宅なのに改装できる同タウン内の賃貸住宅は、条件によっては、原状回復なしで内部を改装できる。「改装することできれいになるなら歓迎です」(代表取締役社長・磯野達雄さん)。ただし、許可制のため、どこまでできるかは磯野さんとの交渉次第。

さらに、住むだけではなくお店も開店できるため、店舗兼住宅となっている物件もある。タウン内にはレストランやカフェ、クリニックまで揃うユニークな“街”の姿がそこにある。入居者の職業は、ライターや音楽家などフリーランスが多いため、住民同士の交流も活発だという。そこでできたつながりを通じ新たな仕事が生まれることもあるという。「今後は管理事務所主催のイベントに力を入れて、コミュニティを盛り上げたいです」(常務・磯野章雄さん)

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

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