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COLUMN

コラム

2018.09.06

♯市場・トレンド

外国人観光客の心を掴むキーワードは「泊食分離」

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「泊食分離」の外国人観光客

「泊食分離」という言葉をご存知だろうか。今、日本へやってくる外国人観光客の傾向を示す言葉だ。

意味は文字どおり、「泊まるところと、食事をするところが別」である。観光客からすると、高い日本のホテルに泊まり、食事までホテルで取るとなると、完全に予算オーバーになってしまう。であれば外で簡単に済ませたり、自炊する方が、ショッピングや観光・体験・レジャーに予算を回せる、という発想だ。

確かに一歩外へ出ると、日本にはワンコイン以内で食べられる店がたくさんある。味も悪くない。

民泊が流行るのも、「自炊ができる」というインパクトが大きいからだという。東南アジアの旅行者は3世帯、4世帯の家族を引き連れてやってくるケースも多い。ホテルと異なり部屋が別れずにすむ一軒家での民泊は、家族団欒も兼ねた自炊の食事も含めて、旅の思い出になっているという。

埋めがたい文化の違い

こういった流れをつかめず、苦戦しているのが旅館だという。日本風の旅館は外国人に人気が出そうだが、実際には年間3,000軒近くが倒産しているそうだ。

金沢を例に挙げたい。北陸新幹線の開通や日本海で採れる海の幸、それに芸術や文化の街として知られる金沢は日本人には憧れの観光地である。ところが羽田や成田、関空、セントレア空港から入国することの多い外国人にとって、金沢は「3泊目」「4泊目」に行く場所だ。思い出して欲しい、私たちも海外旅行に行くと3泊目あたりで「うどん」や「味噌汁」が恋しくなることを。

外国人旅行者も同じで、3泊目の金沢の夜は、日本食よりもパスタが食べたくなるそうだ。そうした時、旅館で出てくる日本料理や、必ず聞かれる「お食事は何時になさいますか?6時ですか、7時ですか?8時ですか?集合場所は◯×です」は、どうも受け入れられないようだ。思わず、「9時ではダメですか?」と聴きたくなるという声もある。

それだけではない。布団を敷く時間が先に決まっていて、従業員がそそくさと室内に入るや慣れた手つきで敷いていく、これも、実のところ精神的な負担になっているという。

外国人観光客のニーズを把握して魅力ある対応を

最近金沢では「素泊まり」を希望する観光客が増加している。とはいえ、山間や海沿いの旅館近辺に十分な洋風レストランは揃っていないため、多くの観光客が近所のコンビニで「カルボナーラ」や「サンドイッチ」を購入し、部屋で食べるスタイルが活況。コンビニであればカードも使え、金額も明朗で安心だ。インスタ映えする写真を撮って「金沢での食事」とアップするのは、セブン・イレブンのパスタ、という笑えない話もある。

逆に飛騨高山擁する富山は旅館でも積極的に洋食メニューを取り入れた結果、飛騨牛を使った「ハンバーガー」が美味しいと火がつき、話題になっているという。

株式会社ホテル格付研究所の北村剛史代表取締役所長によると、「GDPが5,000ドルを超えると海外旅行に行き、2万ドルを超えたら海外旅行のリピーターになる」という。そう考えると、急成長を遂げる東南アジアでは、今後20億人が「海外へ行く旅行者」になるという可能性を秘めている。これらの人々を日本へ呼び込み、リピーターになれば観光立国としての地位は間違いなく高まる。

外国人観光客の心理やニーズを掴みとり、それに合わせた対応をして行くことが求められている。

※「武蔵TIMES 平成30年/7月号」(発行:武蔵コーポレーション)に掲載された「吉松こころの不動産最前線」に加筆修正を加えたものです。

(Hello News編集部 吉松こころ)

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