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COLUMN

コラム

2018.09.27

市場・トレンド

日本でフリーランスが増えている理由

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長らく日本の雇用制度は、終身雇用が当たり前だった。年功序列で出世し、定年後は退職金をたんまりもらって老後は気ままな年金生活……。このような日本独自の働き方が、少しずつ崩れているのは、周知の事実だ。そんな時代の中で働き方の多様性によって急激に増え続けている、フリーランスについて考察していく。

数字で見るフリーランスの現状

フリーランスという働き方が存在感を増している。クラウドソーシング会社大手、ランサーズ株式会社(東京・渋谷区)は、会社や団体に属さず、個人で仕事を請け負うフリーランス(副業を含む)として働く人の数を1,119万人(2018年)と発表した。就業者数6,530万人のうち、フリーランスが約17%を占めている。つまり、就業している人の5~6人に1人がフリーランスとして働いているということである。2015年は913万人だったことを考えると、3年間で200万人も増加しているのだ。

また、同社によると、総報酬額から算出したフリーランスの経済規模は、20兆円を超え、2015年より40%アップしているという。1人当たりの平均年収は186万円となり、200万円に満たない人が60%(労働政策研究・研修機構調べ)いるが、去年の186万円から20万円アップしていることになり、フリーランス市場の拡大と生産性の向上が見て取れる。

このように、日本ではここ3年の間でフリーランスの人口が目立ってきているが、フリーランスの本場といわれるアメリカでは、3人に1人がフリーランスだ。その理由として、スキルアップのための転職が多く行われ、個人のスキルが何よりも重視される文化にある。そのため、仕事は個人へ発注されることが多く、企業に属さずともフリーランスとして仕事を得ることに困らないカルチャーがある。日本と比べてシェアオフィスやコワーキングスペースといった、ワークスペースの多さや、Wi-Fi環境の良さも考えられる。

数字で比べてみると、アメリカは数業者数1億5,000万人のうち、5,500万人がフリーランスとして働き、全体の35%にあたる。2020年には50%を突破するのではないかと言われているほどだ。経済規模は日本の約5.5倍の154兆円で、1人当たりの平均年収も日本を上回る260万円となっている。

しかし、日本が唯一アメリカに勝っている部分がある。それは成長率である。2015年から2018年の労働人口比率は、アメリカでは8.1%の上昇に対して、日本は22.6%の上昇である。また、2017年から2018年の経済規模においても、アメリカは4%の上昇に対して、日本は9%の上昇なのだ。

フリーランスの増加と支援体制

フリーランスの活動の幅が広がり、その数が増えている背景に、クラウドソーシング会社の存在がある。クラウドソーシングとは、個人と企業をWeb上でマッチングするサービスを言い、主にフリーランスや副業をしている人が、クラウド上で企業からの依頼を受注するために利用している。

例えば、クラウドソーシング会社であるクラウドワークス(東京・渋谷区で)には、174万人(2017年末)のユーザーが登録し、企業や政府を含む14万社が仕事を依頼。ユーザーは、Webサイトの制作といった専門スキルが必要なものから、データ入力といったPCスキルが高くない人でもできる仕事など、206種類もの職種のなかから自由に選ぶことができる。サービス開始当初は、エンジニアやデザイナーといったITスキルが高いユーザーが多かったが、今は職種が増えたことで、シニアや主婦など、年齢や職業、スキルに関係なく、幅広い層が登録している。

このようなユーザー数の増加を受け、2018年3月にグループ全体での月間総契約額は10億円を超えたという。

また、フリーランスへの支援やサービスが、新たに整備されてきたのも増加理由のひとつだ。中小企業庁の調査では、多くのフリーランスが抱える悩みに、「収入の不安定さ」や「社会保障制度」、「自分の健康や気力の持続」があるという。

こうした問題を解決するため、次のような支援やサービスが行われている。

1.一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
イーウェル(東京・千代田)が提供する人間ドックや健康診断の割引などの福利厚生サービスと、賠償責任保険を受けることができる。

2.損害保険ジャパン日本興亜
病気やケガで働けなくなったときに月20万円(30歳の場合)の補償を受けられる、所得補償保険へ加入できる。

3.クラウドワークス
継続的に高収入を得ているユーザーに対して、万一の際に月5万円を受け取ることのできる所得補償保険を、無償で付与している。

このような企業の取り組みによって、クラウドソーシングサービスを通して仕事を受注する「クラウドワーカー」の数は、年々増え続けている。日本経済新聞社によると、2017年に420万人となり、2018年には500万人を超えるだろうと予測した。2015年から3.5倍になるということだ。

フリーランスが解消する日本の課題

日本では今、少子高齢化による人手不足の問題が浮き彫りになっている。そこで、企業に属すことなく、自由な時間で好きなように働くことのできるフリーランスは、この問題を解決するひとつの手段として期待されている。親の介護をしている人や、小さな子供がいる母親など、労働意欲はあるが企業で働けなかった人達の新たな選択肢となるだろう。

また、年を重ねても個人のスキル次第で仕事を受注することが可能になり、老後の暮らしが安定することも考えられる。

このように、フリーランスという働き方の多様性がもたらす影響は、計り知れない。

今後もフリーランスへの支援やサービスが広がっていくことで、日本におけるフリーランス人口が増えていくことが予想される。昔は「フリーランスに仕事は任せられない」と言っていた大企業も、今後は「フリーランスだから任せたい」と考えるような時代がやってくるのかもしれない。

(Hello News編集部 鈴木規文)

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