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COLUMN

コラム

2018.11.29

不動産会社向け

ひと味違う入居者募集あれこれ

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不動産業界ならではのアナログな仕事の進め方が、不動産テックの台頭により、徐々にデジタルへと移行しつつある。

10年くらい前、賃貸仲介のキーワードは、この一言に尽きた。

「多店舗展開」

しかし今では、このキーワードはそれほど重要な意味を持たない。京都・滋賀を中心に、2万3400戸を管理する、関西最大手長栄の長田修社長も、「これからは減らしていく」と語るほどだ。

リクルート住まいカンパニーが発表した「2017年度 賃貸契約者動向調査 (首都圏)」によると、不動産会社の平均訪問店舗数は1.6店舗で、10年前(2007年度)の同調査と比較すると、平均訪問店舗数は1店鋪も減少している。

これからの仲介店舗に求められる形とは、どんなものか。今回は、新しいサービスやユニークなサポート、また顧客のターゲットを限定するなど他にはない打ち出しで、新しい形の入居者募集を展開する企業を紹介する。

口コミで部屋探し

まずは、ユーザー投稿型アプリ「じぶん仲介」。

開発したのは、スタイリィ(東京都渋谷区)の代表取締役、中村岳嗣さんだ。このアプリの特徴は、部屋探しをしているユーザーが、住みたい街についての情報を、実際に住んでいるユーザーから得ることができること。アプリ内にある掲示板を通して、その街についての質問を直接ユーザーにすることもできる。

もし、部屋探しを希望しているユーザーがその街に引っ越したいと思ったら、「じぶん仲介」と提携する不動産会社に問い合わせを行う。

管理会社にとってもメリットは大きい。このアプリを自社管理物件の入居者に活用してもらうことで、事前に退去情報を投稿してくれるというのだ。不動産会社は成約した時のみ、同社に報酬を支払う成功報酬型となっているため、無駄な広告費の削減もできる。

CtoCの新しい部屋探しのカタチだ。

レインボーマークでお客様をお出迎え

三好不動産(福岡県福岡市)では、スマイルプラザ博多駅前店をLGBT対応店舗とし、2016年11月からLGBT(L:レズビアン/G:ゲイ/B:バイセクシャル/T:トランスジェンダー)に向けて、部屋探しを支援している。

店舗にはLGBTの象徴であるレインボーのステッカーを掲げ、スタッフはレインボーのバッジをつけている。同社には、LGBTに関する研修を受けた専任者がおり、個室などでの部屋探しや相談にも対応している。

完全紹介制の不動産会社

「完全紹介制不動産会社」を貫く仲介会社がある。誠不動産(東京都渋谷区)だ。スタッフは鈴木誠社長とアシスタントの二人だけ。ビルの一室で営業する同社には、看板もマイソクもない。紹介を受けた人だけが予約をし来店する。鈴木さんは「ご縁ができた方には自分の命(時間)を使って全力で部屋を探す」と語る。

紹介者から紹介を受けた方のみ、物件を紹介するため、友人の友人や会社の部下の友人など、紹介者が直接知り合いでない場合は断るそうだ。

詳しくは、こちら⇒2018年5月31日号 特集1「自分の命を使って全力で探す」誠不動産 鈴木誠社長インタビュー

「無人内見」「VR内見」ブームのきざしを見せる中、完全に「人対人」の部屋探し。時代に逆行するかのようだが、「部屋探しは誠さんにお願いしたい」と指名する顧客が急増だ。

外国人向け不動産情報サイト

外国人の間で話題の国内不動産情報サイトを運営しているのは、リアルエステートジャパン(東京都港区)だ。国内外の外国人に向け日本の不動産情報を発信。月間18万人のユニークユーザーを持ち、物件への問い合わせは、アメリカ、イギリス、オーストラリアのユーザーを中心に年間3万件ほどあるという。

単に外国人向けの不動産情報を載せるだけではない。プロの外国人ライターが外国人の目線で、日本の生活習慣や独自の慣習である敷金・礼金など、部屋探しに必要な情報を発信している。

実際、来日したばかりの外国人は、部屋探しに必要な最低限の知識がないため、探し始める前からつまずくことが多い。例えば、部屋を借りる時に必要な携帯電話の番号や、日本の銀行口座がないことがある。また、「六本木に40平米で家賃が5万円程度のマンションに住みたい」など無謀な希望を問い合わせしてくる外国人も多い。そこで同社では日本での暮らしに必要な知識を伝えるべく、情報を発信をしているという。

外国人専門の不動産会社

外国人を専門に様々な事業を展開しているのは、家賃保証や不動産賃貸仲介などを行うグローバルトラストネットワークス(東京都豊島区)だ。同社の仲介店舗では、日本語での対応はもちろんのこと、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語に対応できるスタッフが常駐している。

契約時には入居者に対し、「家賃は前払い」「契約者名義での家賃振込み」「ゴミ出しルールの遵守徹底」 といった基本的な事柄を動画(6カ国語対応)にして解説している。同社代表取締役社長の後藤裕幸さんによると、理解不足から生じるトラブルを減らすために、母国と日本ではルールが違うということがわかる内容になっているという。

加えて、外国人専門の家賃保証サービス「TRUST NET21」も展開。サービスの一環として、「お金の振込方法や家賃の支払い方法がわからない」「部屋の設備が故障したので管理会社に説明してほしい」「解約方法がわからない」といった疑問を電話一本で解決できるサポートを、無料で行っている。

楽器と共存できる暮らしをサポート

防音設備のない賃貸住宅で楽器を演奏すれば、音は筒抜けとなり、場合によっては近所からクレームを受けることもあるだろう。しかし、防音設備の整った賃貸物件は数も少なく、さらに自分の住みたいエリアで見つけるのは容易ではない。

そのような中で登場したのが、楽器の演奏ができる物件のみを掲載するポータルサイト「M×LIFE」である。運営するのは、M LIFE株式会社(東京都台東区)で、音大出身の自身ホルン奏者でもある遠藤麻生実さんが代表を務める。

大手の住宅ポータルサイトでは、「楽器可」「相談OK」など大まかな条件でしか検索できないが、同サイトでは「ピアノ」「弦楽器」「ドラム」など10種類の楽器別に検索することができる。2016年11月にオープンし、物件の掲載数は時期によって変動するが、約50戸前後だという。現在は2019年1月のリニューアルオープンに向けて、準備を進めている。

進化し続ける入居者の募集方法

ほかにも様々なサービスを行う不動産会社がある。例えば、うどん県こと香川県のグローバルセンター(高松市)は、お気に入りのうどん屋さんから賃貸住宅を検索できる「うどん県索」を展開。石川県のクラスコ(金沢市)は、提携しているタクシー運転手が物件まで内見希望者を案内し、そのまま室内の説明まで行うサービスを実施している。

入居者募集の方法は、時代と共に変化し続けている。そのため、今は入居希望者を集めることができていても、5年後にはその方法が時代遅れになっているかもしれない。入居者が求める部屋探しのスタイルはどんなものか、いち早くニーズを読み取り、実行に移すかが、今後の入居者募集の成功のカギといえる。

(Hello News編集部)

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