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COLUMN

コラム

2018.11.29

ルポタージュ

「人が人間に戻れる街・ポートランド」で気づいたこと(後編)

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ポートランドの街には、こんなスローガンがある。

“Keep Portland Weird.”

「Weird」という言葉には、「風変わり」や「変な」という意味があり、少しネガティブに捉えられがちだが、「風変わり、変な」は、「他とは違う、個性」を表しているのだと、今回のツアーコンダクター、谷田部勝さんは解説してくれた。

街では、”Keep Portland Weird” と書かれたステッカーをしょっちゅう目にする。

自転車や車に貼るのがステータスになっていて、とりわけ若い世代に深く浸透しているそうだ。

3回目となる今回のコラムでは、そんなポートランドの変わったモットーが垣間見れる場所や人たちをみていくことにする。

住まいにおける「Keep Portland Weird」

中編で書いたように、“自分たちの街は自分たちで作る!!”という気持ちが、街に充ち満ちている。「住んでいて楽しいと思う街づくり」がある。

ポートランドにおける「他の人達と違っていい」、「自分らしさを大切にする」が、住宅事情でわかることを見てみよう。

この場所は、元々、廃校になった小学校だった。

ここを、マクメナミン兄弟という二人が買い取り、現在では、ホテル・レストラン・温泉・映画館などがある複合施設になっている。

当時、マクメナミン兄弟は、「ブルワリー(醸造所)」と「パブ」を造りたいと言ったとき、地域住民から反対があったため、外観と中身は、ほとんどそのまま残し、完成させた。

「このマクメナミン兄弟の手にかかると、どんな場所も、一気に活気づいてしまう。商業施設として大成功するんだよ」と谷田部さんは、言う。

兄弟は、「何を創るにしても、本当にそこが面白い!と思える場所じゃないと意味がない」という信念のもと、大人だけでなく、子供たちも楽しめる空間を次々とつくり上げていった。ポートランドが今ほど注目されるもっと前、1970年代くらいから、彼らはこの街を「Weird(奇妙な)」な街につくりあげた最大の功労者なのだ。

教室だったところは、Barやレストランに姿を変えた。

体育館のような講堂は、ミニシアターになっている。

ところどころに、小学校の面影を感じさせる風景が広がっている。

「当時、この小学校に通っていた方が訪れたりもするんだろうな〜。思い出がずっと続くって素敵だなあ」

ここは、「ラファイエット・アパート」といって、1920年にホテルとして建築されたものを賃貸住宅に改築したもの。ポートランドの中心部には、築年の古い建物をリノベーションした例が多く存在する。

地域の活性化に貢献した、日系二世のビル内藤さんは、次のように言っているそうだ。

「古い建物を持たない街は、思い出を持たない人間と同じ」

新しいビルが、まるで雨後の筍のように建設されている東京の街を思い、「確かに人間味がないなあ」と考えてしまう。

「ここならダウンタウンから徒歩圏内だし、建物自体も味があって、住み心地良さそうだな〜」

そう思っていると、参加者のひとりがこの窓には網戸がないことに気づいた。そして、網戸について考えていると、参加者の間でひとつの疑問がわいてきた。

一般的に日本では、網戸が少しでも破れていたりするとすぐクレームになるが、ポートランドではどうなのだろうか、ということである。

それについて谷田部さんは、「そういう細かいところは、あんまり気にされないんですよ」と言う。

次に私が注目したのは、ゴミ捨てに関して。どうなってるんだろうと思っていると、これは面白い!!と思うものが登場した。

 

この左下にある小さな扉が、ゴミ捨て場として使われていたようなのだ。残念ながら、今は、使用不可で実際に中は見れなかった。

と思っていたところに、別の日に視察に行ったアパートに

ジャジャーン!ゴミ箱発見!!赤いボタンを押すと、

このように、扉がオープンして、24時間捨てられるようになっているという。

日本の賃貸市場でも、お客さんが部屋を選ぶ際、重視するポイントとして、「24時間ゴミ捨て可能」が上位にくるらしく、視察中、「これはいい!」という声で盛り上がった。

また、ポートランドの街は、自転車通勤が一番適している街として有名だ(出典元:グリーン・シティー50傑)。

その特色は住宅作りにまで反映されている。

他のアパートでも、このような自転車専用のパーキングが設備されている。どれも高そうな自転車が見事に収納されている。利用料は月々約6,000円くらいかかるため、ちょっとお高めだけど、自転車をこよなく愛する入居者にとっては、外せない設備になっているそうだ。

さらに、パーキングに止まらず、自転車の修理設備まで常設されていることについて、ツアーメンバーも、ここまでするとは!!と、興味深々の様子。

また、視察したアパートで多くみられたのが、屋上を共用スペースにしていることだ。

これには、一同、視察の疲れも一気に吹っ飛び、テンションが上がりまくった。

大分からの参加者、豊後企画集団の重石さんが興味深いことをおっしゃった。

「日本は、だいたい屋上があっても、鍵がしまって行けないようになっているのがほとんど。理由は飛び降りる人がいたら大変だから。ポートランドでは心配無用かな

確かに、私も引越しをするたびに、屋上に行こうと試みたけれど、どこも鍵がかかっていたことを思い出した。

「景色もいいし、ここでくつろいで、楽しんで〜。」

そんなとてもシンプルな発想が当たり前にこととして存在している。

次回は、引き続き、ポートランドの「Weird」について紹介したい。

(Hello News編集部 ささき三枝)

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