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2019.01.24

♯賃貸経営

あこがれの秘密基地を日常生活の中に作った男のDIY論

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子どもの頃、秘密基地にあこがれた人は多いだろう。東京都練馬区に、「秘密基地」を備えたユニークな賃貸アパートが存在する。手がけたのはオーナーであり、Team.DITプロデューサーの水野智之さん(42)だ。

オールドアメリカンをテーマに、50㎡の部屋をフルリノベーションし、押入れだった場所を、コンパクトな秘密基地風の作業スペースに作り変えた。そのユニークさから、テレビや雑誌でおもしろ物件として取り上げられたほど。2015年に初めてDITリノベを手がけるようになって以来、所有物件では4室、知人が所有する物件では13室を、リノベーションしてきた。今回はそんな水野さんに独自のDIY論を語ってもらった。

 ――水野さんが実行されているリノベーションとはどのようなものなのでしょうか。

私の場合、「DIY(Do It Yourself)」ではなく、みんなで一緒に作り上げる「DIT(Do it together)」というスタイルで、フルリノベーションを行っています。オーナーが大工さんなどのプロと一緒になって、それぞれの得意分野を活かしながら工事を進めるスタイルです。基本的には、デザインや工事のスケジューリング、建材の手配から作業まで自分でやり、仲間やプロの方には、必要に応じて現場に入ってもらっています。

なぜDIYではなくDITかというと、私自身、一人で黙々と作業をするのが苦手ということもあり、誰かと一緒に雑談をしつつ楽しみながら取り組みたいからです。協力者は、フェイスブックで募っているので、知り合いの大家仲間が手伝ってくれたり、彼らの知り合いが手伝ってくれたりという感じです。

 ――なぜ、住まいの中に秘密基地を作ろうと思ったのでしょうか。そして、なぜご自身でリノベーションをすることになったのでしょうか。

空室をリノベーションしようと仲間と案を練っていた時に、子どもの頃に憧れていた秘密基地を取り入れたらおもしろいのではないかと思いました。

ところが、秘密基地を作ることも含め、部屋全体のフルリノベーションを実現しようとすると、予想以上にお金がかかることが判明しました。工事業者に見積もりをとったところ、300万円もかかることがわかったため、一部の工事のみを仲間のプロに依頼し、残りは自分たちの手でリノベを行うスタイルにしたのです。その結果、180万円ほどでフルリノベーションをすることができました。

 ――具体的に変更した点と、リノベ後の入居状況を教えてください。

2DKを1LDKへ変更。和室を1部屋取り払い、全て洋室にしました。壁や天井などのペイント、床の張替え、棚の制作などは自分たちで行い、電気の配線工事や造作工事は業者に任せました。

最寄り駅からは徒歩14分で、家賃は周辺相場より1万5000円高い12万円でしたが、募集開始から約3週間で入居者が決まりました。

 ――DIYはセンスも必要だと思います。初心者でも比較的簡単にできることはありますか。

DIYは決しても難しいものではありません。初心者にも簡単なのは、「ペイント」です。壁や天井、巾木などのペイントはクロスの上から簡単に塗ることができます。ただし、クロス貼りはやや難しくて中級者向けだと思うので、初めてで自信がないというオーナーは、まずはワークショップに参加してみることをおすすめします。実際の物件で実践的に教わることができるイベントがたくさん開かれているので、不安を解消できるでしょう。

 ――初心者でも取り組みやすいことがあることはわかりました。デザインについては、何かポイントなどあるのでしょうか。

あれもこれもといろんな要素を盛り込みすぎるとゴテゴテしてしまいます。入居者さんが住んで、家具を置いた時、バランスが100%になるようにデザインを考えるので、部屋の仕上がりは70%になるように引き算をしてデザインしていくといいですよ。コーディネートは、全体を見たときにバランスよくなるようにしなければならないという、私の好きなファッションからヒントを得た考えです。

壁紙やフロア以外にも、照明を変えるだけで、部屋の印象が大きく変わるんですよ。照明次第で部屋に高級感を出せますし、原状回復の時に張り替える壁紙と違い、入居者が変わってもずっと使い続けられるものなので、こだわって選んでも損はありません。今は手ごろな価格で、かっこいいデザインの照明がたくさんありますよ。ただし、照明によっては逆に安っぽくみえてしまうこともあるので、注意してください。

 ――DIYについてオーナーへ伝えたいことと、今後、どんな部屋作りをしていきたいか合わせて教えてください。

DIYをすると、業者に頼むよりは安くできますが、節約だけを目的にしてほしくないと思っています。コストカットのことばかり考えてリノベーションをしても、決して喜んでもらえる物件にはならないと思うからです。

「秘密基地」の入居者からは、「ここに引っ越してきてから人を呼ぶ回数が増えた」と言ってもらえました。これからも誰かを呼んで自慢したくなる、そんな素敵な部屋を作りたいです。次は、デニムショップのようなインティゴをイメージした部屋を作りたいと考えています。

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

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