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COLUMN

コラム

2019.02.14

♯市場・トレンド

人も猫も暮らしやすい猫共生マンション

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ペットの中でも特に人気なのが犬と猫だ。これまで飼育頭数でトップを保ち続けていたのは犬だったが、2017年に初めて猫が犬の飼育頭数を上回った。一般社団法人ペットフード協会が実施した「平成30年全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の飼育頭数は8903頭に対し、猫の飼育頭数は9649頭となっており、2年連続猫の飼育頭数が犬のそれを超えた結果となった。加えて、犬の飼育頭数が年々減少傾向にある一方で、猫は微増傾向にある。

こういった状況下で、ペットと住みたいと思っても、賃貸住宅の場合は「ペット不可」となっている物件が多く、気軽に飼える環境がないというのが課題となっている。厚生労働省「国民生活基礎調査」よると、ペット飼育世帯で持ち家に住む人の割合が85.8%だったのに対して、賃貸住宅でペットを飼育する人の割合はわずか13.8%だった。「ペットと住みたい」は、賃貸から持ち家購入を決める動機のひとつとなっている。

猫も人も住みやすい賃貸住宅

福岡の不動産管理最大手の三好不動産(福岡県福岡市)は、ねこ共生専用マンション「if CAT藤崎」(福岡県福岡市早良区)を自社開発した。コンセプトは、「猫も人も快適に暮らせる部屋」として、歌手の井上陽水さんの長女で、作家・歌手・タレントの依布サラサさんがプロデュースを行った。猫を飼っている人専用のワンルーム賃貸マンションで、猫と飼い主にうれしい設備が備えられている。家賃は1K・25.73㎡~で6万3000円~7万3000円だ。全20戸からなり、完成は今年の2月を予定している。

<猫と人にうれしい設備>
1.ノットキャットドアノブ
ドアノブを上にあげないと開閉できないため、猫がぶら下がっても開けられないようになっている。

2.多目的キャットボックス
猫の寝床やトイレ入れとしても使えるキャスター付きのボックス

3.キャットビュー(外見窓)
高いところから外を眺めるのが好きな猫のために小さな専用窓を設置。

4.スモールキャットドア
ドアが閉まっていても、自由に行き来できる。

5.キャットディフェンス(頑丈な網戸)
爪を研いでしまっても破けないように頑丈に作られている。

6.ITキャットトイレ
スマホ用のアプリを使い、おしっこの量や回数、体重が確認できる。日別・月別に健康状態を把握できる。
7.IoT対応照明
照明にインターネットが繋がっていて外出先からスマートフォンでテレビの録画などができ、猫のために冷暖房の調整をすることも可能。
8.トイレが置ける洗面台
洗面台の下に、大きなスペースを設け、トイレやキャットボックスが置けるようになっている。
9.キャットアイ(見守りカメラ)
外出先からスマートフォンで留守番中の猫を見ることができる。
10.24時間換気システム
常に換気されているため、猫の匂いも気にならない。
11.消臭塗料の使用
天井に消臭効果の高い塗料を使用。

【共有部】
12.ペット用ごみ置き場
猫のうんちやおしっこなどをいつでも捨てられる専用のごみ置き場を設置。
13.ねこ写真コーナー
入居者が飼っている猫たちの写真を掲示するコーナー。
14.ペットボタン付きエレベータ
ペットを連れて乗った時に専用ボタンを押すことで、ペットがいることを外部に知らせることができる。猫みしりのペットが他の猫と遭遇しないようにできる。
15.グルーミングスペース
(ねこ用シャワー室&トリミング室)
16.保護猫情報掲示板
里親募集中の猫情報をチェックすることができる。

猫と暮らせる部屋探しに苦労

猫共生型の住宅開発は同社初の試みだが、そもそものきっかけは何だったのだろうか。「以前から仕事でお付き合いのあった依布サラサさんから「猫と暮らせる賃貸住宅をもっと増やせませんか」という相談を受けたことが始まりです。」(同社・斎藤寛さん)

斎藤さんによると、東京で暮らしていたサラサさんは、2011年に起きた東日本大震災をきっかけに父、井上陽水さんの故郷である福岡へ移住したという。当時、猫を3匹飼っていたサラサさんは、ペットと住める物件探しに苦労したそうだ。

そして、ないのであれば作ってしまおうという結論に達し、サラサさんのプロデュースのもと、猫と暮らせるマンションの開発をすることが決まった。

猫の命を救いたい

「if CAT藤崎」は、ただ一緒に暮らせるだけではなく、もうひとつの願いが込められていた。猫の人気が高まる一方で、福岡県は47都道府県中8番目に犬猫の殺処分数が多いことが2016年に環境省の統計でも明らかにされている。つまり、飼えなくなり捨てられてしまったり、猫への虐待事件が発生したりするなど、ブームの陰で人知れず命をおとす猫たちがいるということだ。「サラサさんは殺処分される猫たちを守る活動も行っています。私たちもねこ共生専用マンションを通して、そういった猫たちを力になれればいいと願っています」(斎藤さん)

福岡都市圏では猫共生型マンションや動物共生型マンションは少しずつ増えてきているといい、同社の仲介店舗にも、猫と住めるマンションはありますかという問い合わせが来ることがある。斎藤さんは「ニーズは高いと思うので、今後は賃貸オーナーに向けて、猫専用マンションの建築や、猫仕様のリノベーション工事を提案し、空室対策や猫と住める賃貸住宅の普及に努めていきたい」と話した。

安易な気持ちでペットを飼ったものの手に負えないから捨てる人や、動物への虐待といった事件がニュースで取り上げられるたびに胸が痛くなる。ペット共生型の住宅が増えることで、人のみならず動物たちも暮らしやすいと感じるような社会となることを願うばかりだ。

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

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