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COLUMN

コラム

2019.03.07

♯女性の働き方を考える♯インタビュー

【前編】39歳からの再出発。パート勤務から始まったホームステージング協会設立への道

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ここ数年、「ホームステージング」という言葉をよく耳にするようになった。この普及の裏には、ある一人の女性の存在がある。杉之原冨士子さんだ。2013年に日本ホームステージング協会(東京都江東区)を立ち上げ、代表理事を務める。

「ホームステージャー」を職業に

「先日は神奈川県に高齢者向けのセミナー講師として行ってきました」

「昨日は、名古屋に出張でした」

全国各地を忙しく飛び回る、日本ホームステージング協会の代表理事の杉之原冨士子さん。

ホームステージングとは、住宅を売る時や部屋を貸す時、綺麗にするだけでなく、家具や小物を配置し、部屋の価値をあげる工夫のこと。日本ホームステージング協会によると、その定義は「住まいに関する様々な問題を専門知識と技術で解決し、住まいの価値や暮らしの質を高めること」としている。

杉之原さんは、「片付けや掃除なども含めてホームステージングと言います。賃貸に関しては、入居者とのコミュニケーションも当てはまります」と語り、ホームステージングの意味の広さを強調する。

日本ホームステージング協会は、4年前から「ホームステージャー」の資格を認定している。ホームステージングの基礎となる考え方と実戦で活かせる手法が学べる2級と家具の搬入、搬出や不要家財の取り扱いを含む、演出から提案方法までを網羅したプロの人材を育成する1級に分かれている。現在、有資格者は約2700人。取得者は、不動産会社、リフォーム、管理会社、家具メーカー、家具販売、賃貸住宅のオーナー、インテリアデザイナー、整理収納アドバイザー、公務員、運送業、小売業など多岐に渡る。

「『ホームステージャー』を職業にしたい」

杉之原さんの夢は明確で、今はそこに向かってまっしぐらに突き進む最中にあるわけだが、杉之原さんが、「ホームステージング」と出会ったきっかけは何だったのだろうか。

事務のパートが原点

「40歳を迎える前に外で働きたい」

遡ること23年前、杉之原さんは39歳の主婦で、長男が小学生5年生、次男が幼稚園とまだまだ手がかかる時期だった。最初はパートタイマーとして始め、ゆくゆくは正社員として働きたいという思いがあった。

パート先に選んだのは、運送会社の事務の仕事だった。請求書の作成や伝票処理などの「ザ・事務仕事」に打ち込んだ。5〜6年が経過したころ、社内で営業職が欠員し、募集をしているのを知った。事務仕事を一通り身につけた杉之原さんは、営業職に手を上げるという思い切った行動に出た。

営業経験もなし、車もペーパードライバーという状態だったが、それでも営業に飛び込んだのは、「請求書などを作っている中で、実際の現場はどのような仕事をしているのかにとても興味を持ったから」と、杉之原さんは笑顔で話す。

勤務していた運送会社は、引っ越しサービスを提供していた。杉之原さんが就いた営業は、引っ越し依頼が入った後、依頼主の自宅に行き、荷物の量などを確認し見積り書を作成し、成約をもらうというスタイルだった。

引っ越しの際、荷物が多い、また、高齢という理由から荷物の梱包を依頼する人も少なくなかった。当時、梱包依頼が入った際は、専門会社に外注をしていた。

ある日、利用者のアンケートを読んでいると、梱包サービスの部分だけなぜか評価が低いことに気が付いた。自身が担当した利用者に電話をして聞いてみると、「サービスの質がよくない」とクレームを受けたのだった。

杉之原さんは、まず、梱包作業に立ち会うことにしたところ、目に飛び込んできたのは、服装のエプロンがバラバラだったこと。また、利用者に対する言葉遣いが、友達に話しているような口調であることが気になった。「これでは、クレームになっても仕方がない」と感じた。サービスとして提供されている以上、身だしなみや丁寧な言葉遣いやお客様への対応は、引越そのものの満足度を左右する重要なサービスなのだと強く感じたのだ。

現場の経験生かし会社設立

そこで、また、新たな行動を取った。

「よし、私がやろう」

梱包を依頼された場合は、杉之原さん自ら同僚と2人で出向き、作業を行ったところ、高評価が得られた。これならうまくいくと感じたという。しかし、弊害も生まれた。営業と梱包と両輪で行っていたため、営業の方は問い合わせに対応できずに、逆にクレームを受けることも増えてしまった。どちらかに集中しなければと考え「梱包作業だけ、別組織を作りたい」と社長に直談判したところ、今までの実績が認められ、すぐに社長の了承を得た。

2010年に社内で別事業部として立ち上げ、その後2011年には、別会社化し、サマンサネット(現・サマンサ・ホームステージング)を設立した。営業をしていた時、家に上がって見積りを取ることから、「女性」ということが依頼主である主婦や高齢者の方から好評を得ていた。そこで、家に入り込んで作業を行う梱包サービスは、女性だけの組織にした。主婦を中心に、梱包技術を教育し、登録制にして常時20〜30人の人材を確保した。元の会社からの受注はもちろん、他の引っ越し会社からも依頼を受け順調だった。

後編では、「ホームステージングとの出会い」、「協会設立までの道のり」などについて語る。

(Hello News編集部 山口晶子)

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