• facebook
  • twitter
  • line

ARTICLE

記事

2019.03.20

♯民泊・簡易宿所

【前編】今からでも間に合う?!民泊で儲け損なったあなたへ送るホストドリームへの道

このエントリーをはてなブックマークに追加

民泊の業界規模は回復傾向の兆し

約8カ月前の2018年6月15日に、住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)が施行された。法整備されたことで、グレーゾーンの民泊はなくなり、“政府公認”の民泊数が着実に増えてきている。観光庁の発表によると、2018年11月時点での民泊新法による届出件数は、12,268件(受理件数11,018件※)に達したという。民泊新法がスタートした6月時点での届出件数は、3,728件(受理件数2,210件)ほど。つまり約5か月の間に届出件数が3.2倍、受理件数は4.9倍に増えたこととなる。

一時は撤退する人が続出

民泊運用管理システムの開発や運用代行を行う、matsuri technologies(東京都新宿区)の代表取締役社長の吉田圭汰さんもそれを実感する業界人のひとり。

同社が提供するのは、ホストや民泊管理会社向けに、物件アカウントの一括管理や、メッセージ自動返信機能などがある「m2m」という管理システムで、2016年にリリースした。「m2m」のアクティブユーザー数は、昨年6月以前までは約6,000件(室)あった。ところが、6月以降は一時2,300件(室)まで激減した。しかし、現在は回復傾向にあり、今年2月時点では4,500件(室)まで持ち直した。

厳しいルールで闇営業が困難に

 民泊撤退サービス「撤退太郎」を運営するスイッチエンターテイメント(東京都新宿区)でも、昨年6月、撤退依頼件数が過去最高を記録したが、現在は月1件程度の依頼があるかないか。

これまでに累計330件を請け負い、一時売り上げの7割を占めていたサービスだったが、現在では代行業が逆転している。

新法施行の6月を境に、当時、代行を請け負っていた依頼主の3割が民泊から手を引いたものの、今では代行業売り上げが全体売り上げの9割を占めている。

未だに残る違法物件

二人の話を聞くと、民泊マーケットが活気を取り戻してきたことが分かる。しかし、活気があるのと健全であるのとは少し意味合いが異なるようだ。

というのも、観光庁が55 社の住宅宿泊仲介業者などに実施した調査によると、約4万1,000件(2018年9月時点)の民泊物件のうち、約16%にあたる6,500件以上が、自治体と仲介サイトに登録された住所や事業者などの情報が異なり、違法もしくは違法の疑いのある物件だったことが分かったのだ。これを受け、観光庁は、適法物件をデータベース化し、公開することで違法物件の排除を目指す方針だという。

違法民泊の調査を専門とするオスカー(東京都大田区)の中込元伸さんはこう語る。

「届け出のない物件や架空の届け出番号で登録された物件が仲介サイトに載っていれば削除するなどの対処ができます。しかし、仲介サイトに載せずに集客していた場合、見つけ出すのは非常に困難です」

違法民泊がまかり通るロジックはこうだ。

例えば、海外の旅行会社が日本にある民泊物件のホストやオーナーと提携し、パックツアーの中で民泊を宿泊場所として利用しているというケース。これなら違法民泊であってもコンスタントに集客ができてしまう。

中込さんは「こういった送客システムがあるらしいということは耳にしているのですが、どこの誰というところまでは特定できていません。サイトに物件が掲載されていない以上、現場を押さえて注意するか、ゲストにマナーを守ってもらうことを徹底し、せめて近隣住民に迷惑をかけないようにしてもらうしかない」と話す。

政府だけでなく、自治体も違法民泊やルールを破る運営者には目を光らせている。中込さんによると、民泊営業の届け出は出されていても、平日営業禁止の条例を無視して営業を行ってしまうホストがいるのだという。「届け出を出した以上は、ルールを守ってほしい。ルール違反をする一部の人のせいで周囲はネガティブに捉えてしまう」(中込さん)

ちなみに条例破りが発覚した場合は、自治体の職員が運営者を直接訪ねて指導しているというが、口頭注意に留まり罰金などの罰則はないというのが現状だ。

ルールを破る人が続出すれば、それらを取り締まる新たなルールができる可能性もある。そしてそれは時として適法で運営をしている人たちの妨げにもなりかねない。中込さんは、「ルール違反をする一部の人のせいで、民泊に対してネガティブなイメージを持ってしまう人もいる。届け出を出した以上は、ルールを守ってほしい」と訴える。

後編では、実際に民泊を運営しているホストや、民泊にベストなのはどのような物件なのかを当事者からの話を元に探っていく。

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

このエントリーをはてなブックマークに追加
ページトップへ戻る