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2019.07.25

♯賃貸経営♯講演・セミナー

管理会社の「働き方改革」を学ぶ①【ちんたい研究会】突撃ルポ

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ちんたい研究会(※)が主催する「働き方改革についての勉強会」が、2019年7月18日(木)、東京・八重洲のカンファレンスルームにて開催された。

北海道から沖縄まで全国41社71名の業界関係者が来場した。

「働き方改革」をテーマに掲げた勉強会だけに、講師、参加者は共に、経営層、人事部門、経営企画部門責任者が中心となった。

(※)ちんたい研究会について(ホームページより)
全国賃貸仲介管理業のちんたい研究会とは、賃貸仲介管理業の経営者の方を中心に有志を募り、先進的取組みを共有することを目的としたものです。会では、先進企業からいろいろな経営ノウハウや戦略・戦術を学ぶことに加え、地域・FCを超えた経営者間での『気軽に相談し合えるネットワークづくり』も大事な目的としています。ベンチマークの後、毎回親睦会を開催し参加者同士の交流を深めています。全国賃貸仲介管理業ベンチマーク会は、株式会社クレシオが運営しています。既に30回の開催実績があり、参加者数はのべ1,000名を超えるに至っています。

今回の勉強会(ベンチマーク会)は、まる5年経過の節目にあたるという。

講師を務めたのは以下の8人だ(登壇順)。

米澤社会保険労務士事務所/米澤和美・所長
(株)リクルート/野口貴広・執行役員
(株)高知ハウス/和田英和・代表取締役社長
(株)Good不動産/牧野修司・代表取締役
(株)クラスコ/清水秀晴・常務取締役
(株)宅都ホールディングス/野村陽一・取締役
(株)第一不動産/保崎将士・取締役
(株)コスモ不動産/野津靖生・代表取締役

運営する株式会社クレシオの木村勉代表が、事前に入念な打ち合わせをされているというだけあって、それぞれとても充実した内容だった。

本記事では、講演の一部を抜粋し、「管理会社の『働き方改革』に学ぶ」と題し、3回にわけ紹介する。

第二回目の記事はこちら⇒管理会社の「働き方改革」を学ぶ②【ちんたい研究会】突撃ルポ

「働き方改革」法改正への心構えとは?

まず全講演に先立ち、徳島県のシティ・ハウジング(株)はじめ百数十社の企業の顧問を務めている米澤社会保険労務士事務所・所長の米澤和美さんより、「働き方改革」法改正のポイントと、実際に現場で起きている問題について語られた。

米澤さんは、企業との顧問契約以外に労働局の紛争調整委員会に属しており、労働者が企業に対し訴えてくる内容の調停をおこなっているという。実際に米澤さんが関わった案件が報告された。

それはパワーハラスメントを訴えて退職した女性社員から、1年分の給料を内容証明付き郵便で請求されたというケースだった。この事例では、米澤さんが間に入って当人の話をよく聴き、気持ちを汲み取ったことで無事解消し、支払いはせずに済んだという。だが実際には、これほど丸くおさまるケースは珍しく、企業がさかのぼって残業代を支払うということも少なくない。

「パワハラ防止法」も22年4月から適用されることを考えると、労務の問題はますます重要になってくるといえる。                                                                    

米澤さんは「社員の話をよく聴き、気持ちを汲み取ること、それから時間外労働の上限規制(※)を超えさせないこと、経営者は社員の労働時間を把握すること、それらをきちんと行ってほしい」と締めくくった。

(※)時間外労働、休日労働に関する協定「36協定」についてのリマインド
労働時間は原則1日8時間・1週40時間以内とされており、これを超える場合は「36協定」の締結、労働基準監督署長への届出が必要。繁忙期など臨時的な特別の事情でその上限を超える場合は、「特別条項付36協定」を締結する。月100時間未満(休日労働含む)・複数月平均80時間以内(休日労働含む)・年720時間以内(ただし、月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月まで)

講演後、参加者からは「従業員からのもしもの訴えに対して準備できる保険商品というものはないのでしょうか」という質問があがった。

米澤所長からの応答は「あいにく存じません」というものだったが、会場ではその質問に共感する表情の参加者が多数見受けられた。

対応を怠ると企業側が大きな代償を支払うリスクがあるという危機感を、あらためて皆で共有した。

「働き方」模索のリーディングカンパニーでは

次に、(株)リクルート 野口貴広執行役員(※前(株)リクルート住まいカンパニー代表取締役)が登壇し、『リクルート流働き方改革』について、豊富なデータとエピソードを交えて紹介した。

印象に残ったのは「あらゆる小さな施策で、何度もトライ&エラーを繰り返し、その中から結果が出せたいくつかの施策を組み合わせることでしか、イノベーションは加速しない」ということ。リクルートほどの先進的な企業であっても、失敗から生まれるものがいっぱいある、ということだった。

リクルートでは次の手順で「働き方改革」を推し進めた。

①いまやっている業務内容をすべて可視化する、時間的にも可視化する
②検討を加える。これはムダで無くしてもいいのではないか、ここはITに置き換えた方がいいのではないか、ここはもっと集約させることができるのではないか、など
③いろいろな施策をトライ&エラーで繰り返す
④労働時間に相当な余裕が生まれる
⑤創出した時間をどう生かすかを検討する

具体的な施策として、私が興味を持ったのは、リモートワークだった。ビジネスチャットツールを活用しリアルな会議時間が半分になったという検証は、子育て中の人だけでなく、介護が必要で家から離れられないという人にとっても有り難いことであり、これからの仕事スタイルとして期待が膨らんでいる。

リクルートでは、リモートワーク率の数値目標はあえて定めず、社員が自分の判断で希望し、一番いいロケーションで、一番いいパフォーマンスを上げてもらうということを目指しているという。

ただし、システムエンジニアなど、上司が刻々と変化する状況を見据えながらタイムリーに指示を出しているような一部の職種にとっては、リモートワークに向かない場合もある、というのが検証してわかったことだという。

これから本当に必要なのはマネジメント

そして次なるテーマは、生まれた時間をどう生かしていくのか、ということ。

ワーキングマザーにとっては、仕事と子育ての両立の時間に充てられる。しかし、そもそも時間の制約のない者にとってはどうだろう。これまでできなかった「付加価値業務」に充てられるのか。自由な時間をどう使ったらよいかわからない「指示待ち君」が出てきやしないか、その場合いかに自律した職業人に成長させるべきか。リクルートにとってもこれらは現在進行形の課題であり、マネジメントの問題として模索中だという。

女性活躍については、実際のところ管理職でいうと意外なほど少なかった。課長職を分母にすると、女性の割合は2008年で約16%。「これではいけない、優秀な力を持っているワーキングマザーたちが存分に活躍できなきゃ」ということから始まり、労働時間を見直して、生産性を高めていく取り組みを始めたことで労働時間が相当減り、2017年には、課長職の女性の割合は27%くらいまで上がったという。しかし入社時の男女比が50%ずつであることからすれば、まだ過渡期という認識だ。

野口さんはワーキングマザーの女性管理職の見習うべき点として、「子育てと両立するために、仕事をいかに効率化して短縮するかを考えて実行し、チームの中で了承と協力を得るスキルを身につけていること」を挙げていた。女性の持つ底力を見る思いがして、とても興味深かった。

またオフィス設計に関しても、ユニークな話を聴くことができた。「オフィス硬直化の最大の原因は机だと思っている。固定席にしろ、フリーアドレスにしろ、机が面積に占める割合って大体6割くらい。当社は66%くらいあって、これをどうにかして減らそうと考えたりしています。」とのことだ。

例えば、このようなサイドテーブル付きチェアで充分な場合もあるという。

リクルートは高度成長期から「働く」ということに深く関わってきただけに、いま多様な価値観と働き方が交錯するなかで、『働き方改革』をこれからのイノベーション創出の手段として捉えていた。そして人事制度からIT活用、マネジメントなどの領域まで先行して取り組む姿は、大変示唆に富んでいると感じた。

と同時に、リクルートですら「働き方改革」への取り組みは現在進行形で模索していることに、シンパシーを感じた。

次回はいよいよ管理会社の取り組み例として、(株)高知ハウス、(株)Good不動産、(株)クラスコの各社について紹介する。

第二回目の記事はこちら⇒管理会社の「働き方改革」を学ぶ②【ちんたい研究会】突撃ルポ

(Hello News編集部 黒後登志恵)

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