• facebook
  • twitter
  • line

ARTICLE

記事

2019.10.17

♯市場・トレンド

生き残りかけ地銀が見つけた新たな投資先

このエントリーをはてなブックマークに追加

書店を除くと、『捨てられる銀行』『銀行危険度ランキング』、『地銀・心筋ダブル消滅』など、過激なタイトルの本が最近特に目立つ。独自性を見出せない地方銀行はいずれなくなってしまうと言われて久しい。

独自性とユニークさは打ち出したものの、1兆円にものぼる不正融資で社会問題となったスルガ銀行の例もあるが…。

最近取材をしていると、建設会社の苦悩を耳にする機会が増えた。

「目の前に顧客がいるのに、融資がつかず建設を断念した」

金融庁指示により地銀が融資を絞ったことで賃貸アパート・マンションの受注が落ち込み、その影響が建設会社を直撃している。

「これまで土地持ちの地主なら融資がついた。けれど、サラリーマン投資家だと融資はほぼ100%降りない」と嘆く。

地主営業は、ハウスメーカーはじめ、多くの地場ゼネコンが当たり尽くし、最近は、土地と建物をセットで売る「ランドセット型」と呼ばれる販売形態が主流となっている。「ランドセット型」の場合、ほぼ銀行融資による購入となるため、金融締め付けは、建設する側の経営を圧迫する。

ところが苦悩する建設会社を尻目に、銀行は銀行でしぶとい生き残り策を見出しているという話を聞いた。

ここは別名「東京24区」とも言われる、日本人に大人気のハワイ。

気候、景色、過ごしやすさ、どこをとっても日本人から愛されるリゾートだ。ハワイ不動産を世界で一番買っているのが日本人だというデータからもそれは読み取れる。

ハワイ州全体における「外国人の住宅不動産売買」をまとめた資料によると、購入者の第一位は日本人で、件数にして291件(2014年)。総額にして、2兆7801億3207ドルで、全体の総額5兆8463億9514ドルの47.6%を占める。オアフ島だけで見てもやはり一位で、件数は260件。二位のシンガポール人が12件というからその差は大きい。1件あたりの平均売買価格は、97万7609.23ドルだという。

最近の購入者の特徴を、地元で不動産業を営むGATEWA ESTATESの富田千賀子さんは、「海や山など大自然の近く、というよりは、街の真ん中にニーズが高まっています。以前であれば、プライベートビーチのあるような海辺の一戸建てが人気でしたが、東京と同じ暮らしをしたいと言って探される方が多いという印象です」と語る。

ハワイでは、コンドミニアムを購入し、別荘として利用しながら、所有者が使わない時は、「バケーションレンタル」として旅行者に貸し出すモデルが浸透している。清掃や管理は、現地の管理会社に委託し、宿泊代が所有者に収入として入る仕組みだ。

そのハワイ不動産投資の投資家に目をつけたのが日本の地銀だ。

「最近は、日本の銀行がすごく来ているなあ、という印象です」と語るのは、ある地元の企業。

「西京銀行、東京スター銀行などが不動産会社を回っていますよ。金利は、2.8%で、ハワイの銀行の4.0%と比べたらびっくりするくらい安いから皆、驚いて関心を示しているんです」

国内ではかぼちゃの馬車問題で糾弾され、役員が退任したスルガ銀行でさえ、ワイキキのメイン通りで営業に走り回る行員の姿をよく見かけるという。

「日本で騒ぎになってたんですか?ハワイの人は、そんなことは全く知りませんし、スルガ銀行という銀行があったのね、という感じ。金利も2%台で安いからいいね、と話していたんです」

ハワイ不動産は世界的大不況と言われたリーマンショックの時でさえその影響は小さかった。不動産価格はゆったりと右肩上がりで築年数を経ても上がり続けている。そのため、ハワイ進出銀行の中には、1棟目の融資を実行すると、その1棟目を担保に、半額くらいを再度融資し、2棟目の購入を促すところもあるという。

日本のかぼちゃ問題の二の舞にならなければいいが、と思うばかりだ。

(Hello News編集部 吉松こころ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
ページトップへ戻る