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2020.03.26

♯インタビュー

「新型コロナの影響とこれから」コメント集Part.1(スタイルオブ東京 藤木社長、民泊運営Mさん、アドレス 佐別当社長、レンタルスペース運営 ささきさん)

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スタイルオブ東京の代表取締役、藤木賀子さんに聞いた(2020年3月12日)

今後、不動産業界に起きることとは?

「会社に行く」という当たり前の行為が、「それって本当に必要?」となっています。企業側も、仕事をする事務所を借りる、社員を抱える、ということを立ち止まって考え始めています。

不動産仲介の現場では、フリーのエージェントが活躍する時代が来ると思っています。これほど情報がオープンになった今、「名刺」の力で仕事をする時代は終わるでしょう。真の意味で、スキルや知識、人脈を含めた「じぶんブランド」を持ったエージェントにお客さんは集まるんじゃないかな。

「じぶんブランド」を持ったエージェントとは?

本来、不動産仲介をする人間は、お客さんの代理人です。であれば、建物や立地のことはもちろん、メンテナンスや建物の見えない部分の構造、銀行との交渉やファイナンス、相続や税務、もっと言うと引越しやお片付けに関することまで、ありとあらゆる知識を持っていなければなりません。だからこそお客さんは「手数料」というお金を支払うわけです。

なのでそもそも売る側、買う側、両方の代理人なんてあり得ません。

9割の大手不動産会社がいわゆる「両手」取引をしていますが、それは反響単価に3万円〜5万円、成約単価に30万円〜50万円かけているため、両手をしないと合わないから。そういう構造自体が見直される時に来ています。

知識に加えてコミュニケーション力も必要ですね。

当然です。誰でもできる仕事はAIがしますから、お客さんから信頼を得られる人しか生き残れません。信頼の基本は、嘘をつかない、隠さない。これまで不動産業界では情報格差を利用した売り方がまかり通っていましたが、これからは通用しません。

宅建は自動車の免許と同じで、最低ラインの資格と考え、どんどん自分で学び経験して、アップグレードしていく。不動産という高価なものを扱うわけですから当たり前です。今は教育コンテンツやネットで学べる仕組みもたくさんありますから、その人の持っている「知識量や経験」でお客さんが集まる時代になると思っています。

とはいえ「大手から買いたい」というお客さんも一定数はいますから、大手がなくなることはないでしょうね、ただ、優秀な人ほど辞めてフリーになっているという話も聞きますね。

仲介の業界が良くなる転機になるかもしれませんね。

アメリカでは不動産仲介の8割が女性と聞きました。子育てをしながら経験を積み、子供が大きくなってからバリバリ働くという女性も多い。日本もそうなるべきだと思いますし、そのためにも、それぞれが誇りをもってプロとして仕事できる環境づくりが必要ですね。

とりわけ建築や不動産の現場では、同じ建物を扱っているチームでありながら、下請け孫請けの方々の地位が低く、コミュニケーションギャップが起きている場面も多くあります。そういう部分も変わっていくといいですね。

熊本市内で10棟28室の民泊を運営するMさんに聞いた(2020年2月25日)

宿泊予約の状況はいかがでしょうか。

ずっこけています。3月の外国人客9割がキャンセル。4月からの予約は、ほぼゼロでかなり苦しい状況です。熊本市内の普通のホテルでも、当日予約で1泊3000円まで落ちているようです。日韓問題の影響も大きく、少しずつ利用者が減ったいたところに加えてこのコロナショック。「日本には行かない方がいい」と外国人は言っているみたいです。

厳しいですね。

私の場合は投資家に投資してもらって、売り上げの10〜20%を運営代行料としていただくという、ゼロリスク・ローリターンのビジネスモデルなので、他の民泊オーナーのように撤退を迫られているほどではありません。もちろん厳しいは厳しいですが。

 何か策はありますか?

海外からの帰国組の方々からの受け入れでしょうか。例えば以前こんなお客さんがいました。

「ドイツにお嫁に行き現地で暮らしていたのだけれど、実父が倒れて孫を連れて帰ってきました。実家には兄夫婦がいるので泊まれない。子供連れてホテルに長期で泊まると高くつく。アパートを借りるとなると、家具家電まで揃えないといけない。だから民泊にしました」

こういうニーズはきっとあると思うんですよね。このお客さんは、子供があっという間に地域に馴染み、日本語も話せるようになって友達もできたから、夏休みには毎年帰ってくることにしました、と言われていました。

 意外なニーズがあるものですね。

こんなお客さんもいます。「福岡在住38歳看護師、24歳男子大学生」。毎月予約があるので、週末同棲のような感じなのでしょうか。

ラブホテルだと予約できないけれど、民泊ならできる。料理もできるし、なおいい。そういう風に泊まれるところが今まであったかというとなかったんだと感じます。とにかく眠っている宿泊ニーズを呼び起こせば、きっとお客さんはいるはずです。

株式会社ADDressの代表取締役、佐別当隆志さんに聞いた(2020年3月25日)

御社会員であるアドレスホッパーたちに動きはありましたか?

長野や伊豆など、都会の喧騒から少し離れた地域に1週間ゆっくり滞在される方が目立ち始めています。都内の電車に乗ることもなく、ゆっくり仕事もプライベートも集中してできたという声もいただいています。

会員数に変化はありましたか?

2月に比べて、1.5倍以上のペースで新規会員が増えています。中には、会社がテレワークOKになったので、利用を開始したという方も出始めています。

新規会員向けのイベントはオンラインに変更し、週2回以上開催しているのですが、毎回20〜30名以上聴講しています。リモートワークをテーマにした回には50人以上が参加され、関心の高さを感じます。メールマガジンの新規登録者も毎月2000人くらいだったのが、3月は5000人を越えました。

新型コロナ問題をきっかけに今後、挑戦したいアドレスのサービスはありますか?

一回当たりの連続滞在期間を7日間に制限していますが、もっとゆっくりと滞在できるように30日など期間を延ばすことを検討しています。また、交通機関と連携し、低価格の定額制交通サブスクの実証実験を始めましたが、遠方の拠点利用に効果が出ており、 ANAやJRなど提携を強化してエリアや使いやすさを拡大していく予定です。

今後の住宅市場はどのように変化するとお考えですか?

コロナの影響で、経済的な影響が企業、生活に拡がっていくことが予想されます。また、地震、台風、パンデミックと今後もいつ何が起きるかわからない時代になってきました。住む場所、働く場所を固定化することのリスクを感じている人も増えているのではないでしょうか。

マイホームの購入や高い家賃を払うことに抵抗を感じ、生活コストを抑えたり、地方との2拠点や多拠点生活に関心を持つ人が増えていくように思います。

横浜・関内駅で人気レンタルスペースを運営するささき三枝さんに聞いた(2020年3月26日)

 コロナの影響は出ていますか?

予想では、活動自粛などが増えるにつれて予約数も減ってくるだろうと思っていましたが、予約数は減らず安定していて、逆に3月になってから増えている感じです。

中には「卒業式や結婚式が中止になって仲間だけでお祝いをしたい」、「セミナーが中止になり動画セミナーに切り替えるための撮影場所として使いたい」というのもあります。一方で、急に体調が悪くなり、「コロナの可能性がないとは言い切れないのでキャンセルさせてください」など、多少の影響は受けています。

コロナに対しての対応は?

除菌ペーパーで室内の拭き上げをし、部屋に「除菌済み」の紙を貼っています。また、体調の悪い方がメンバーにいらっしゃる場合は、キャンセル料も考慮させていただくので、「ご無理しないようお願いします」とメッセージを送ったりしています。

対策に対する問い合わせは?

コロナ対策に対しての問い合わせは、今のところないです。今後、活動自体がもっと自粛モードになると4月以降は厳しいのかなと、予想しています。3月26日時点で、4月の予約数2件です。3月の予約数21件だったことを考えると、出足は悪いですね。

今後撤退も検討しますか?

転貸でやっているので激減するようだと厳しいですね。とりあえずは様子見です。


2019年12月~2020年3月までのレンタルスペース予約表

(Hello News編集部)

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