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2020.05.07

♯インタビュー

「新型コロナの影響とこれから」コメント集Part.6(商社幹部、中国人アーティスト、フリーカメラマン、アパレル営業社員、介護従事者3名)

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関西に本社を置く中堅商社の幹部(50代男性)に聞いた(2020年4月20日)

御社は「足で稼ぐ商社」で知られたどえらい関西企業ですが、コロナの影響はどうですか。

“会ってナンボ、脚で稼いでナンボ”でやっていると、今みたいなメール営業しかできない時に何もできんことがわかりました。

社内の文化を変えるのは容易ではありません。

文化は変わらんでしょう。今は、マネージャーにはMBAの基本を、若手にはマンダラートシートで作戦の練り方を指導しています。と言っても、全くできないので、作成したものを1時間かけてマンツーマンでスカイプで指導して再度作り直させるというアナログな指導法です。どんな営業戦略を練るかが課題で、勘や体力に頼らないセールスを育成中です。

御社は創業時からほとんど変わらないスタイルで、工務店を集めた展示会を全国各地で開催し営業先を開拓しています。今後もそのやり方を維持するのは難しいでしょうね。

いまだに「状況次第では展示会を!」とか言う幹部が多いから困ります。人を集める時代やなくなったという冷静な観察をしよらしません。展示会やるなら「webで」というくらいの変化が必要です。リアルなイベントの10分の1くらいのコストで開催できるし、例えば食品工場の製造ラインをバーチャル動画で見せて、「ここがポイント」とか説明したらいいと思います。ユーザーから直接「こんな機能はないんか?」という要望をもらってもええでしょう。「顧客を仕組みに取り入れる」つう発想です。
それと、こんな時はPDCAでなくて、OODAループが向きます。最初にobserve(観察)、次にorient(状況からの方向付け)、ここで確実性を高め、decide(行動プランを決めて)し、最後にact(実行する)。状況がコロコロ変わる時やから、プランニングしても直ぐに作戦を替える必要ありますからね。

上層部の方々の頭は柔らかくなりそうですか。

まあようやく始まったズーム会議も200人参加で3時間かけてやるとか言っていますから、日本的発想のままオンラインになったようなもんです。スカイプ、ズームの使い方も総務部と長電話しながら聞いています。若い人間たちは横で見ながら苦笑しています。今後は、上の世代も変容していかざるを得ないでしょうね。

海外投資は進むと思われますか。

生産コスト削減のための海外投資ではなく、マーケットに合わせた新しい市場開発のための海外進出に切り替える必要があります。また、地域も中国やタイ依存でなはく、インドやミャンマーなどへの分散も進むと思います。新市場を考えるならば、中東やアフリカなんかも出ていかないかんのでしょうけどね。

イタリア・ミラノで活動する20代の中国人女性壁画アーティストに聞いた(2020年4月8日) 

現在の状況を教えてください。

フリーランスのアーティストですが、収入は今止まっています。美術学院の友人によると、卒業は3月の予定だったけれど、6月に延長になった学校もあるようです。授業もオンラインで行われているそうです。

かなり深刻な状況を伝えるニュースが、日本でも度々報じられています。

イタリア北部は、ウイルスの感染者数がもっとも多く、ミラノの隣のLombardia区にある町では、数万人が感染しているという報道もあります。大袈裟ではなく、各家庭で一人以上は肺炎で亡くなっているという報告もあるようです。原因の一つにイタリアの高齢化もあるようです。
医療機関は崩壊寸前。一般軽症の人は自宅待機で、重症患者のみ病院に行きます。ただ、軽症の人は普通にスーパーに行っているという話もあり、市民は外出すると隣に感染者がいるのではないかと不安を感じています。

何をして過ごしていますか。

私の住むミラノは、外出禁止が続いており、全員自宅隔離の状態です。外出はもちろん、散歩もダメです。毎日ネットで買い物したり、ご飯を作ったりしています。街には警察がたくさんいて、捕まると400ユーロの罰金が科せられます。外出する際は、身分証明書を持ち、マスクをして、家から200メートル範囲内までと決まっています。
自宅待機を始めてからそろそろ20日が経とうとしていますが、この間、アーティスト活動ができていないため、少しでも創作意欲を保てるようにと、私はイタリア現代文学の本を読み始めました。本を読むことで学習意欲が湧いてくる気がするんです(笑)
また、友達とも毎日連絡を取るようになりました。人と会うことが大好きな友達は、みんなと早く会いたい気持ちが抑えられないようで、外出自粛が解禁される日を、首を長くして待っているようです。

店舗の営業状態は?

スーパー、薬局だけが空いています。どちらに行くにしても、何を買うか詳しく申告しなければならず、不明な点等があれば罰金です。スーパーの前はすごい行列です。みな距離を取り、入場制限をしていますが、物資は足りているようです。
先週一回だけ、近くのスーパーへ行ったついでに隣の公園で少しだけ(3分くらい)散歩をしました。人は誰もいませんでした。

芸術関係の人々はどんな話をしていますか。

映画、美術館、バーやコンサートにいくのが好きだった人々が多く、皆ストレスが溜まっていますね。

フリーカメラマン(男性/30代)に聞いた(2020年4月30日)

仕事への影響を教えてください

これまで月に10件ほど入っていた撮影の依頼が、2月は5件、3月は2件、4月に入ったら1件になりました。なんとか貯金を切り崩してやっていますが、このペースが夏頃まで続くようだと、生活はかなり厳しくなります。幸い、私は独り身なので、自分のことだけを考えれば良いですが、結婚して子どもがいるフリーの仲間は、本当に辛いと言っていました。

国からの支援を受ける予定ですか。

はい。今は、給付金や貸付金などの申請を行っているところです。申請するために必要な書類の作成が大変だとよく聞きますが、私はフリーで仕事をしているので、売り上げなどはすべて自分で管理していますし、皆が言うほど大変な作業ではなかったです。

今後の見通しは?

時間ができたことで、改めて自分の作品をまとめたり、勉強したりする時間に充てています。そして、コロナが落ち着いた後、撮影の仕事を引き続き受注できるよう、今のうちに自分をアピールできる素材を集めているところです。

アパレル会社勤務の営業担当社員に話を聞いた(2020年5月3日)

仕事への影響を教えてください。

私はお客様であるアパレル店舗に直接、行って、実際に洋服などを見てもらいながら営業するスタイルで働いていたため、「緊急事態宣言」発令後はほとんど営業活動ができなくなってしまいました。今は会社からの指示で、週2回の出社と週3回のテレワークを行っています。

営業活動ができないとなると、今はどんな仕事をされているのですか。

営業資料を見直して新規開拓できる地域があるかを調べたり、自分の実績をまとめて見える化して会社に報告したり、これまでは営業後に自主的に行っていた仕事を朝から夜までやっているといった感じです。正直に言うと、かなり手持ち無沙汰になりましたが、会社からは仕事内容については特に何も言われないため、私自身もどこまで自分から率先して動いてよいか分からず、困っています。

今後はどのように仕事をしていく予定ですか。

会社のスタンスとしては、都からの指示に従って今後の業務を決めていくと聞いていますので、少なくとも「緊急事態宣言」が終わるまでは、人対人の営業活動をすることはできないと私は認識しています。しかし、解除されるのがいつになるのか全く見通しも立っていませんから、私個人としては人と会わなくても営業ができる方法を試行錯誤中です。

老人ホームに母親を預けている50代のシングルマザーに聞いた(2020年5月6日)

現在の状況を教えてください。

これまでは、3日に一度は母を訪ねて老人ホームに行っていましたが、今はもちろん面会することはできなくなりました。また、毎月行っていた尿管ステント交換のための検査入院すらできない状態で、今後どうなっていくのか、とても不安ですね。

どのように連絡を取っているのですか。

老人ホームのスタッフさんと、コミュニケーションを取りながら情報交換をしています。母とは、2日に一度、ファックスでお手紙を送っています。

茨城県に母親とその姉(叔母さん)が暮らしている、東京在住の女性(50代)に聞いた(2020年5月6日)

現状を教えてください。

私は、五反田でエステサロンを経営しています。コロナの感染拡大が広がる前は、半分茨城、半分東京で暮らすという生活をしていましたが、コロナをきっかけに、茨城に完全に移りました。エステサロンの仕事は、今はお休みしています。

茨城での暮らしはいかがですか。

茨城に移ってから、母が入院してしまい、今は叔母と2人で暮らしています。もちろん、母とは面会もできず、もどかしい毎日です。叔母はなんとか元気なので、このまま励まし合いながら様子をみていきたいと思っています。
私自身は、田舎に引っ越してきて、こんなシンプルな生活があったのかと、今は新鮮な気持ちで毎日を過ごしています。少し落ち着いたら、今後の仕事のことも考えていきたいです。

92才の認知症の母親と同居している男性(50代)に聞いた(2020年5月7日)

お母さまはコロナの現状を認識されているのですか。

認知症の母が、コロナでここまで日本が変わっていることを認識しているかどうかは私にもわかりません。ただ、こういう時は、分からないほうが本人にとっては幸せかもしれませんよね。

どのようにして介護されているのですか。

週一回の温泉付きデイサービスと週一回の訪問看護をお願いしています。引き続き、その方々と連携して、母を見守っていけたらなと思っています。また、私たちが住んでいる岩手県は、感染者数が出ていないので、まだ現状を保てていますが、関東方面の方は本当に神経を使って大変だろうなと想像すると、気の毒です。どうにかこの状況を早く切り抜けたいですね。

(Hello News編集部)

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