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2020.10.01

♯賃貸経営

「債務超過」と「赤字」って何が違うの?

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賃貸アパートの施工不良問題が発覚したレオパレス21は9月30日、2020年4~6月期連結決算が141億円の最終赤字となり、118億円の債務超過に陥ったと発表した。施工不良アパートの改修遅れに加え、新型コロナの感染拡大の影響により、賃貸事業が低迷し、3期連続の最終赤字となっている。同社は同日、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループから572億円の支援を受け入れるとも発表。この資金調達により債務超過を解消する見通しだ。

では債務超過に陥っていることはどれくらい危険な状態を指すのだろうか。赤字との違いについて調べてみた。

「債務超過」と「赤字」の違い

債務超過とは、「債務者の負担する債務の額が、資産の額を上回っている状態」(野村証券「証券用語解説集」)で、会社の資産をすべて売却したとしても負債が残ってしまうことを指す。

例えば個人で考えると、住宅ローンなどの借金に対して、自宅や車、預貯金などすべての資産を合わせて返済に回したとしても、ローンがまだ残ってしまう状態のこと。それが会社で起きている、というのが債務超過である。

一方、赤字は、ある一定期間において、支出が収入を上回る状態のことをいう。そのため、資産の売却などを行えば、赤字は解消することができる。

つまり、前述のレオパレス21の債務超過は、赤字が3期連続で続いたことで手元の資金が徐々に減少し、負債が資産を上回ってしまったということになる。それを解消するために、海外ファンドから支援を受け、債務超過の解消を計ったというわけだ。

そこまでしてなぜ債務超過を解消する必要があるかというと、一般的に債務超過に陥ると、銀行から融資を受けることが難しくなってしまうからである。融資を受けられなくなると、借金の返済も取引先への支払いも給与の支払いも難しくなり、最終的には経営破綻となる可能性が高くなる。

緊急輸血により首の皮一枚でつながったレオパレス21だが、まだまだ安心できる状況とはほど遠い。問題の施工不備物件の改修については、2020年9月9日時点で、改修が必要な物件1万3626棟のうち、着手が進んでいるのは約7394棟、完了したのはたったの1005棟に過ぎない。信用不安からリフォーム会社が同社の仕事を受けたがらないという話も聞く。

また、賃貸アパートの建築事業も停止しており、売上高は前期比87.9%のマイナスで、売上の目途も立たない状態だ。資金援助を受け、同社は債務超過を解消したわけだが、再建への道のりはいばらの道と言える。

(Hello News編集部 鈴木規文)

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