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2021.01.28

<後編>再緊急事態宣言でどうなる?不動産マーケット

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【目次】再緊急事態宣言でどうなる?不動産マーケット
・前編はこちら

西村明彦さん
1990年大学卒業後、山一證券を経て不動産会社、ファンド会社などで様々な職種を経験。2009年に商業用不動産コンサルティング専業の(株)不動産戦略研究所を創業し現在に至る。プロ間のブローカレッジと相続対策の助言を得意としている。

戸建てや分譲マンションの状況は?

吉松
戸建住宅がよく売れていると聞きます。

西村
一時的な現象と思いますよ。今時の金持ちは、戸建ては買わないです。というのも、震災が身近に感じられるようになり、木造に住むリスクが高まっていますし、戸建てはセキュリティの課題も大きいですからね。

吉松
そうなのですね。分譲マンションも売れていると聞きますが、価格は上がっているのでしょうか。

西村
億ションも当たり前の時代になりました。共働き前提だと、7000万円から1億円は確かに手が届きますしね。ただし、会社員の年収はダウンしていますから、全体価格は下がると思います。

吉松
では、建設費用はどうなっていますか。

西村
工事現場は減っていません。そのため、労務費、材料費とも下がりません。だから不動産の内訳は、建物が割高で土地価格は頭打ちという状況です。不動産会社は「利益なき繁忙」なのに対して、ゼネコンはまだ利益を出していると思います。

不動産業界の次のトレンドは?

吉松
不動産業の新しい傾向を教えてください。

西村
やはりDX(デジタルトランスフォーメーション)路線が面白そうです。クラウドファウンディングがファンドに代わる勢力に育ってきます。小口のお金が容易に集まるようになりました。不動産系CF(クラウドファウンディング)業者は不動産従事者を少数精鋭にしてIT従事者を沢山抱えます。サイトで組み入れ不動産を眺めるとBBB(トリプルB、つまり投資適格ギリギリ)程度の物件が大半ですが、利回りは高めなのでマネーを募集しても短期に集まっています。

吉松
今後はクラウドファウンディングに注目ですね。さて、再緊急事態宣言明けの不動産業界の景色は、どのように考えておけばよいですか。

西村
大相続時代と緊急事態宣言が重なり、売主圧力が顕在化していくでしょう。不動産インフレに慣れた感覚をリセットしていく必要があります。

吉松
不動産インフレというのは、不動産価格が高いということですか?なぜリセットする必要があるのでしょうか。

西村
物価上昇率はゼロ近傍でしたが、都心不動産に限っては右肩上がりでした。それがコロナ禍で止まった感じがします。エビデンスは上場中堅不動産会社の決算書を参考にすると明白です。

テレワーク普及でオフィスは?

吉松
大相続時代とは分かりやすいキャッチコピーですね。

西村
相続が発生しても利害関係者間で調整がつかずに売却待機不動産が増えてきています。税務署は、相続税に対しては大変厳しくマークしていますので、信託銀行を筆頭に優秀なアドバイザーへの依頼が増えていくと思います。

吉松
では、オフィス需要はいかがでしょうか。テレワークが普及してきましたが、何か変わったところはありますか。

西村
まだ企業は試行錯誤でしょうが、会社員にとってテレワークは大歓迎でしょう。このままテレワークが続けば、オフィスが減ってデータセンター(DC) が増えていくはずです。不動産の新陳代謝が起こり、楽しくなりますね。

吉松
ネット社会でDCが増えると、電力需要も高まりますよね。グリーンエネルギー革命がキーワードになっていますが、再生エネルギーの分野は現在、どんな様子でしょうか。

西村
相変わらず太陽光発電所は人気です。私も過去累計で50億円くらいの売電所を売却仲介してきましたが、投資家が中小零細企業から大企業に代わってきています。20年間のFIT(固定売電価格)が終了しても製造業から将来的に売電ニーズが見込めるので稼働中の売電所も売れます。

吉松
風力発電所への投資熱はいかがですか。

西村
小型風力はまだトラックレコードが少ないのと、低圧売電所になるので、投資家のニーズは低いです。また、日本では小型風力発電に適した土地が少ないので、普及しないかもしれません。洋上風力発電所が普及した欧米は、遠浅の海が多いため、成功していますが、日本には遠浅の海は少なく普及しないかもしれません。

吉松
では、地熱発電はいかがでしょうか。日本は火山が多く、地熱発電に向いていると聞きますが?

西村
全く無理そうですね。地中は宇宙より不可解みたいです。地面を掘るのは、空に打ち上げるより、より技術が必要なんですね。そんな中でも有望なのは、小型原子力と言われています。日本としては結局そっちにいくようになると予想します。

コロナ後の宿泊マーケットは?

吉松
西村さんが以前注目していた高級宿泊施設や駐車場は投資対象としていかがですか。

西村
インバウンドはコロナ禍が収まれば復活すると思います。沢木耕太郎の『深夜特急』を読んで旅をするのに、日本より適した国はなさそうだと改めて感じています。自動運転が普及したら無人タクシーが24時間街中を巡回しタクシーの数が減り、その結果、カーシェアが増えてマイカーが減り、駐車場ニーズが激減するという研究発表があります。一方で、電気自動車は安いので購買意欲を刺激しますし、自動車事故が無くなれば車を運転したくなるので、保有台数は増える可能性もあります。私は後者を支持します。

吉松
なるほど、宿泊施設は今は大変ですが期待したいです。将来、駐車場ニーズの考え方も参考になります。その他に注目する投資対象はありますか。

西村
都心ヴィンテージマンションですね。私も中目黒で一部屋所有して賃貸しています。築54年で20平米、月額11万円の賃料です。いずれ建て替えのタイミングで、必ずデベロッパーが買ってくれます。ヴィンテージマンションは初心者に丁度よい投資対象です。詳しくは拙著「不動産投資アービトラージ」を読んでみてください。

吉松
今回はエンタメ感満載のお話で、大変興味深く拝聴しました。以前ある投資家さんに、不動産投資を始めるのに最適な時期やタイミングを聞いた時、こんな風に言われたのを思い出します。「それは、お金を借りられるとき」。ありがとうございました。また次の機会もよろしくお願いします。

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