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2021.08.05

♯賃貸経営

【後編】「オーナーを賃貸経営の主役に」オーナーシップを刺激するECHOES

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2020年12月コロナ禍でのリリース

ECHOESを一言で言うと、
「オーナーが自分の意思でポータルサイトに掲載できる仕組み」だ。

これまで所有物件がどのように掲載され、どんな写真が載って、どう紹介されるかは不動産会社任せだった。

何件反響があって、どれだけ閲覧されているかもオーナーは知らなかった。

しかし、ECHOESは、オーナーが自分の主観と感性で物件をアピールできる。もちろんそのために時間や手間はかかるが、努力すればしただけ、反響という結果につながる。

現在、掲載が可能なポータルサイトは、SUUMOとat homeだ。(※2021年8月10日からHOMESが加わる予定)

通常、仲介店舗の店長が見ている、
「検索が何件あって、詳細画面が何件見られて、お問い合わせが何件きました」という情報が、毎週グラフ化され、ECHOESからオーナーに報告される。オーナーはこの結果を見ながら、「あの写真の効果かな」「キャンペーンが効いたのかな」と分析したり、考えたりすることができる。


ECHOESから送られてくる報告画面

もし、検索もなく、反響もなければ、物件そのものに何か問題があると考えられる。当然何かしらの手を打たなければならない状態だと判断できる。

「ずっと疑問だったのが、大家さんって経営者なのに、数字で判断できないことだったんです。“最近動いている”とか“コロナでちょっと減ったけど戻ってきた”とか“頑張って決めます”とか、数字のない抽象的な言葉のやりとりがあまりにも多いんです」(木津さん)

 
普段から自発的に賃貸経営に取り組んでいるオーナーであっても、ECHOESからの週に一度の報告日が近付くと「ドキドキする」らしい。自分の経営判断や能力が数字となって明確に評価されるという、初めての経験をしているのだ。

ECHOESでは、判断の根拠となる数字を報告するだけでなく、同社のスタッフが、オーナーに「エントランスか洗面所か駐車場の写真の3つの中からどれか2つ入れてください」「今この退去のタイミングで写真を撮り直しに行ってください。明るさが出るよう昼間に」など具体的なアドバイスも行っている。

それだけではない。

仮に内見があれば、その時に入居者がどんな感想を持ったのか、何が決め手となったのか、または何が原因で決まらなかったのかを仲介店に電話で聞き取りをし、それをオーナーにフィードバックすることもしているのだ。

キャッシュポイントはどこか?

では、ECHOESはどこで儲けるのか?

実は、ECHOESを通して、SUUMOやat homeに掲載されるのにかかる費用は、そのままSUUMOやat homeに支払われるため、ECHOESの利益は0円。

ECHOESが収益を得るのは、反響があり、内見が決まった時に、全国にいる仲介店に情報を流す、「内見紹介料」と、自主管理物件の成約時、元付けとなることで得られる保険や保証の手数料だけだ。

つまり、ただ掲載しているだけではECHOESの収入はなく、反響から成約に至って初めて収入が生まれる。だからこそ、ECHOES側も必死になって反響を取るためのアドバイスをするというわけだ。

こうした会計事情は、全てオーナーにも開示し、明朗にしている。まさにオーナーとECHOESは、一蓮托生と言える。

メルカリより楽な操作!?

ECHOESには、入稿、掲載、反響の確認と契約の事務の4つの機能がある。
木津さんが特にこだわったのこの入稿のところだ。
「メルカリくらい簡単にしよう」
そう思い立ったが吉日、メルカリの開発担当者に話を聞きに行った。
そして辿り着いのたが、マイソクをスマホで撮れば、そのまま物件情報が転記されるという仕組み。
わかりやすい例で言うと、名刺を写真で撮るだけでデータ化し、管理するEightのようなものだ。

入稿の流れ
オーナーがマイソクの写真を撮影
⬇︎

3日後、正確に入力された画面がオーナーに戻る
⬇︎
オーナーが、キャッチコピーを考えたり、写真を撮ったりする
(間取り図や写真がないオーナーにはECHOESが有料で代行するサービスもある)
⬇︎
適時、ECHOESから内容についてアドバイスがある
⬇︎
投稿

前述したように、ECHOESが収入を得るタイミングは、成約が決まった時であって掲載期間の収入は生まれない。しかし、オーナーへのアドバイスなどには確実に人が動く。ECHOESのビジネスはアナログなところが肝でありながらもそのほかの部分をいかに自動化するか、まさにテクノロジーが問われるモデルとも言える。

開発に際し、木津さんがこだわった機能がある。それは、空室ではない物件も登録できる点だ。
「要は、満室のときから事前準備をしてくださいとアナウンスをしています」(木津さん)

どういうことかというと、いざ空室が出てから物件情報をまとめたり、写真を撮ったりするのは、時間がかかる。このため事前に物件登録をしておき、解約予告の電話がかかってきた瞬間に掲載ができるようにしようということだ。

まさに、市場からオーナーの物件が消える時間を生み出さないワザと言える。

物件登録をしておけば部屋ごとのリフォーム履歴などが管理できる副次的効果もある。いずれは、どのメーカーのクロスや住宅設備であればどれくらい空室期間を短縮できたか、といったことを管理できるAIを使った機能も追加していく予定だ。

管理会社との関係性は?

ここまでで気になるが管理会社との関係性だ。
その辺りを木津さんはどう考えているのだろう。

「実は、オーナーさんが作ったアカウントに管理会社の担当者を招待することができるようにしているんです。つまり管理担当の方がECHOESの反響情報を見れるようにしています。こうすることで、同じ数字を見ながら空室対策の話ができるんです」

数字を見ながら話ができるため、リフォームの提案が通りやすくなったり、条件改定やキャンペーンの話もしやすくなる。

早期でリースアップできれば、管理会社が管理料収入を得るタイミングも早まる。

つまり、管理会社は管理会社という役割以外に、コンサルタントとしての役割も持てるようになるわけだ。

ECHOESは管理会社とも共生できるシステムなのだ。

育てたいのは、オーナーさんが募集を担うという文化

「そもそも論として、このECHOESをやることで、募集はオーナーさんの仕事なんだと言うのを自覚していただきたいのです。ちゃんとオーナーが自分の数字を見れば、募集条件を自分で決めることもできるんです。”4カ月も決まらないのに管理会社は何も提案してこない”じゃなくて、オーナーさんが自分で数字見て、じゃあ賃料下げようかとか、リフォームしたほうがいいんじゃないかとか、オーナーさんから先に言える環境を作りましょう、と伝えています」(木津さん)

木津さんが目指すのは、オーナーが経営者として自分で判断できる土壌づくりだ。数字を見てジャッジできるサイト、それがECHOESが目指す形だ。

「空室対策や賃料査定を山勘にしたくないんです。空室対策の科学化が夢」
無駄な投資や無駄な費用をかけなくても、データ分析で価値を上げられれば、キャッシュが増えるオーナーも出てくるだろう。

とはいえ、ECHOESはまだ始まったばかり。
会員登録数も1700人。利益が出るのは1万人を超えてからで、あと3年は赤字を覚悟している。

「オーナーさんが真の経営者になるよう、後押ししていきたい」(木津さん)

(Hello News編集部 吉松こころ)

 

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