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COLUMN

コラム

2018.10.04

新しい暮らし方

急速に広がるシッターニーズ

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年収800〜1000万円の共働き子育て世帯が利用

「家事代行サービス」という言葉を一度は聞いたことがあるだろう。

業界大手のベアーズ(東京都中央区)が登場したのは、今から19年前の1999年。

「当時『家事代行』という概念がなく、サービスが浸透するまでには苦労したと聞いています。家政婦というと大げさですが、ハウスクリーニングというとお部屋を清掃するだけのイメージ。このため、『家事代行サービス』という言葉を新たに作り出したそうです」と語るのは、マーケティング部の部長後藤晃さん。

家事代行サービスの内容は、許可が必要な「高所作業」や「マッサージ」以外は、基本的には、家事全般を指す。要望が多いのは、水周りやリビングの掃除、料理、洗濯など、“ザ・奥様の仕事”と言ったところだ。

同社では、1回から依頼できる「スポットプラン」や定期的に訪問する「デラックスプラン」と数種類のプランを用意している。料金は、1時間3300円からだ。ニーズが高いのは、デラックスプランで月2回、2〜3時間の利用だ。月額にすると2万円弱かかる。

「産休から復帰するタイミングでのご利用などが多いと感じます」(後藤さん)

スポットプランは、年末の大掃除や引越し時の依頼が多く、依頼人立会いのもと共に掃除や整理をすることが多い。

家事代行サービスから独立したプランとして提供しているのが「料理代行サービス」だ。約5年前、社内の育児休暇復職者が発案した。もともとは、仕事がある平日の料理の手間を軽減しようと5日間作り置きサービスとしてスタート。5時間ほどで5日間の料理を作り、タッパーに入れ冷蔵庫にしまうところまで行うプランだ。「楽ラクうちごはん」として人気のあるサービスで、最近では、健康ブームや食育という観点から手作りの食事ニーズが高まり、依頼が増えているという。

利用者の世帯年収は、800〜1000万円の共働き世帯で、子供が1人か2人いる世帯が多い。

「年収800万円の家庭で自由に使えるお金が月に6万〜8万円くらいと言われています。今までは、外食やショッピングを楽しんでいたけれど、その中から2万円を家事代行に当て、時間や心にゆとりのある生活を求めるという方が多いと感じます」と後藤さんは話す。

利用者は2011年を境にして右肩上がりで増加した。後藤さんによると2011年に起きた東日本大震災の影響で「豊かな暮らし」を見直す人が増えたことも要因だという。また、この頃から第二次安倍政権が発足し、アベノミクスの方針で女性が働くことに注目が集まり始めた。女性が働くのであれば、仕事以外の余暇をどう過ごすのか、また家事はどうするのかという課題が社会的に広がった。解決策として家事代行サービスがテレビで取り上げられるようになった結果、少しずつ認知度が高まり、利用者増加につながったと分析する。2017年の年間サービス稼働件数は約40万件、2011年の12万1000件と比較すると3.5倍も伸びた。

サービスの品質維持と利用者増加を目指す

「感覚値ですが、1年間で100社くらい新規参入されていると感じます」(後藤さん)

NTTタウンページ株式会社が運営するサイト「タウンページデータベース」で2014年に発表している「家事代行サービス」の登録件数推移(2005年〜2014年)は右肩上がりで推移している。

家事代行は、登録や免許が必要な業界ではないため、新規参入しやすい。業界にとって新規の企業が増えてくることは、ニーズが高まっていることを表しているが、課題もある。品質の維持だ。業界団体、一般社団法人全国家事代行サービス協会では、サービスのクオリティを維持したり、向上させたりするための、セキュリティ強化やスタッフ教育システム、覆面でサービスを依頼し、内容を評価するミステリーショッパーの導入などの動きをしている。

「家事代行の認知は高まってきました。しかし、家事を人に任せることへの精神的な抵抗、他人を自宅に入れることへの物理的な抵抗などまだまだ障壁はあります。これらの課題をクリアし、働く女性のサポートをしていけたらと思います」(後藤さん)

(Hello News編集部 山口晶子)

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