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2019.03.28

♯インタビュー

ニッポンインシュア 坂本真也社長インタビュー「ウチでないと困るというお客様を増やしたい」

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ニッポンインシュア(福岡県福岡市)は、家賃保証業界では、2004年の事業開始と後発だ。しかし、管理会社向け自社保証会社の設立支援や、他社に先駆けてのテナント保証サービス強化など、独自の路線を突き進む。2016年には陣頭指揮を取ってきたカリスマ社長、矢野孝介さんの逝去という不遇に接するも、その遺志に従い、事業の拡大や新規出店の手を緩めることはなかった。昨年10月には、矢野社長の直属の部下として長年薫陶を受けてきた坂本真也さんが社長に就任。100人の社員たちの期待を肩に会社の成長に力を注ぐ。

坂本さんに今後の展望を聞いた。

 ──昨年10月に社長に就任するまでの20年間、九州最大手の三好不動産で賃貸管理・仲介の実務を経験し、それぞれの責任者もされてきました。保証会社のトップでそのような経歴を持つ方は珍しいのではないかと思います。保証や督促を依頼する立場から、保証をする側に移り、どのように変化しましたか。

長く賃貸管理業務に携わってきましたが、仕事への取り組みに関しては同じです。「管理」と一口に言っても、家賃の集金・送金に始まり、入居者の募集、建物メンテナンス、入居者の選定、敷金の精算、契約等と、その内容は非常に広く、とりわけ「家賃の集金、送金」はとても重要な仕事です。なぜならオーナー様の信頼と直結しているから。

管理会社側の経験が長いからこそ、この業務を預かっている事の重要性を再確認し、社員にも指導していかなければと感じています。

 ──2015年には「スマートレンダー」のテナント保証事業部の営業権を事業譲受しました。それが東京進出への大きな足がかりとなったわけですが、現在のテナント保証事業の現況と、M&A経験者だからこそ感じる難しさ、面白さを教えてください。

M&A直後は引き継ぎで現場は苦労したようですが、テナント保証に関しては先駆けであり、新事業に携われるということがモチベーションになっていたと思います。今、テナント保証は当社の基幹事業に成長し、東京支店だけで見ると、売り上げの7.5割に達しています。この経験は今後の展開で生かされていくと思います。

 ──テナント保証と住居の保証では、どのような違いがありますか。特に意識されていることや人材の配置で工夫されていることなどを教えてください。

特に対応に差をつけている点はありません。滞納が発生すれば、住居もテナントも同じように早期に対応し解決するよう取り組んでいます。

 ──管理会社向けに自社保証会社の立ち上げをサポートされています。

これまで23社の管理会社様の自社保証会社設立をサポートさせていただきました。会社設立のサポートはもちろんですが、事業開始後のバックオフィス業務が当社の強みです。

事業開始に際しては、管理会社様ごとに審査基準を設定します。審査基準は、その会社が「入居率をどう考えるか」というスタンスによって異なり、10社あれば10通りの基準があります。審査開始後は、その基準に則り当社の審査部が行う流れになります。

 ──保証プランも、各社それぞれなのですか?

商品プランは、管理物件のエリアに多い入居者属性、家賃単価に従い作り上げていくため、これも三者三様です。

事業がスタートすると、顧客の管理や更新といった実務が発生しますが、これらのバックオフィス業務も当社が代行します。実際に滞納が発生すると、電話や通知も当社で行うため、自社保証会社設立のために社員を増員したり、事務所を借りたり、システムを導入する、といったことが不要となるわけです。

 ──自社保証事業に関して、展望や目標を教えてください。

問い合わせの数は増えており、自社保証を立上げられている管理会社様が増えてきているのを実感しています。その会社ごとの経営スタンスにあった提案を強化していこうと思います。

 ──家賃の回収業務に関して、人手不足の問題もあり、IT化や自動化が課題になっています。ニッポンインシュアではどのような取り組みをしていますか。

RPA(コンピューター上の定型作業を人に代わりソフトウェアロボットが代行し自動化するシステム)の導入を行い、事務の軽減かつ正確性をはかっています。保証契約書をクラウド化する等のシステム、「クラウドインシュア」を構築し、ご利用いただく管理会社様の業務軽減にもつなげています。「クラウドインシュア」は常々改良を重ねおり、環境改善もしています。今後は基幹システムの発展も視野に入れています。

 ──自主管理オーナーへの営業について考えておられることがありましたら教えてください。

自主管理オーナーはその数の多さからも見逃せない市場と捉えています。当社の認知度を高めるために、現在、営業方法などを検討しています。

 ──外国人入居者が増えていますが、どのような対策を取られていますか。

社員として、外国人の直接雇用を行っています。現在、中国人スタッフが3名、ベトナム人スタッフが1名所属し、審査や滞納督促業務を行っています。また、退去立会もすることで、未払い問題を事前に防いでいます。

 ──福岡本社から、東京、新潟、大阪と拠点を拡大されています。これまでの経緯と今後のエリア戦略を教えてください。

東京、新潟、大阪の支店については、出店前からクライアント様との取引があり、さらなる関係強化を目指し出店を実行してきました。今後もクライアント様がいらっしゃる地域へは積極的に出ていく計画です。

2020年の民法改正に伴い、家賃保証会社のニーズは高まる一方と思うので、広くカバーできる体制を整えたいと思います。

 ──ニッポンインシュアは保証事業に関しては後発ですが、社員の多くが「宅建士」を取得していたり、大学に行く制度があったり、外部講師を招いた研修があったりと社員教育に力を入れています。具体的な内容と、その狙いを教えてください。

リーダーシップ、マーケティングやマネジメント能力の向上を目的に、2014年から大学の入学費用を全額補助しています。入社3年以上の者を対象としていますが、上長の推薦があればこの限りではありません。これまで6名が卒業し、現在1名が通学中です。

社内研修に関しては、今年度から、「プレゼンスキル研修」「部下指導育成研修」「ファシリテーション研修」の3つを取り入れていました。社員には20代後半から30代後半が多く、これら3つの研修を3年以内に受講することを必須とし、ミドル層の熟成を図っています。

 ──社員教育や研修に投じる予算は?

今期は400万円ほど予定しています。大学や研修を通じ、異なるセクションだったり、異業種の方々の考え方を聞くことができ、傾聴力が高まっているのを感じます。そのため会議などでの発言も力強くなっているなあと。社員教育には今後も力を入れていきます。今の時代は昔と違い予測がつきにくい時代なので、個人の成長は必須です。
今年の会社のスローガンは「成長」。
積極的にセミナー、研修等に参加して学んだことを仕事に活かしてもらい、仕事を通じて個人の成長につなげていただきたいと考えています。

 ──女性向けフィットネスのカーブスやコインランドリーなど、他の保証会社にない、ユニークな事業を様々展開されています。

保証事業に関してもコインランドリー・フィットネス事業に関しても、ニッポンインシュアでないと困るというお客様でいっぱいにしていきたいですね。

──主な事業内容──
・賃貸家賃保証事業
・家賃保証事業の立上げ、運用サポート
・ランドリー事業
・フィットネス事業

(ライター Hello News編集部)

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