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2019.06.20

♯賃貸経営

建て替えや物件購入のタイミングで調べておきたい「建ぺい率」と「容積率」

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「建ぺい率」と「容積率」は、不動産業界ではよく耳にする言葉だが、それぞれ何を意味しているのだろうか。

どのような建物が建つかを示す数字

普段、私たちが生活している地域の多くは、都市計画法によって「用途地域」が定められている。良好な住環境を守るため、コンビニなどが建てられない「第一種低層住居専用地域」から、最も規制の少ない「商業地域」まで、13種類もの区分で細かく分かれている(国土交通省の資料より以下の表を作成)。

第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域。小規模なお店や事務所をかねた住宅、小中学校などが建てられる。

第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域。小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられる。

第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域。病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられる。

第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域。病院、大学などのほか、1500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられる。

第一種住居地域
住居の環境を守るための地域。3000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建てられる。

第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどが建てられる。

準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。

田園住居地域
農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域。住宅に加え、農産物の直売所などが建てられる。

近隣商業地域
まわりの住民が日用品の買い物などをするための地域。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられる。

商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域。住宅や小規模の工場も建てられる。

準工業地域
主に軽工業の向上やサービス施設等が立地する地域。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられる。

工業地域
どんな工場でも建てられる地域。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられない。

工業専用地域
工場のための地域。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、ホテルなどは建てられない。

その用途地域に応じて定められているのが「建ぺい率」と「容積率」だ。この2つの数字を見るだけで、おおよそどのような建物が建てられるか分かるようになっている。

「建ぺい率」も「容積率」も、敷地面積に対する%(パーセンテージ)で表されるようになっており、建築基準法によって定められている。新築の建設や所有物件の建て替え、中古物件の取得を検討しているオーナーは、その数字と意味することを知っておくことが大切だ。

敷地面積に対する基本的な考え方

「建ぺい率」とは、簡単に説明すると、平面で考え、敷地面積に対してどれくらいの割合で建物を建てられるかを指している。例えば、100㎡の敷地に対して、建ぺい率80%となると、80㎡までの建物しか建てられない。30%〜80%の範囲で制限が定められているのだ。

別名、〝ゆとり度〞とも称されるように、図Ⅰのように「建ぺい率」の数字が小さいほど隣り合う建物との間に空間が生まれ、ゆったりとした佇まいになるだけではなく、災害時の避難経路の確保や延焼の抑止など防災面から見ても住環境を整えることができる。しかし、逆に小さな面積の建物しか建てられないため、部屋の広さや戸数が限定されてしまう。

一方、「容積率」は立体で考え、敷地面積に対する建築可能な延べ床面積を指す。100㎡の敷地に対して建ぺい率80%、容積率400%の場合では、何階建てまで建てられるかは次のような計算式で求めることができる。

・400%(容積率)÷80㎡(建物面積)=5(階)

これにより、図Ⅱのような床面積80㎡で5階建も建てられることが分かるだろう。駅前のような商業地域は容積率が大きいため、ビルやマンションなど高層の建物を建てることが可能になる。

賃貸経営の将来を見据えた情報収集が必要

所有する土地の「用途地域」や「建ぺい率」、「容積率」について知るには、最寄りの自治体の担当部署で用途地域マップ(地図情報)を入手するか、一部の自治体ではインターネットから情報を得ることが可能だ。

「用途地域」は、駅前の再開発事業に伴う変更や、約5年に一度見直されるため、定期的に役所に足を運んで情報収集しておくことがおすすめだ。将来、建て替えをする可能性のある中古物件を購入する時には、「用途地域」の変更に伴い「建ぺい率」、「容積率」が変わり、同じように建てられない可能性もあるため注意が必要である。

また、所有物件がある地域がどうなるのかといった、今後の町づくりの計画を知っておくことは、オーナーにとって大切な情報になるだろう。というのも、賃貸経営は20年、30年に及ぶものであり、先を見据えた計画が必要だからである。

(Hello News編集部)

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