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2019.06.20
♯賃貸経営
「建ぺい率」と「容積率」は、不動産業界ではよく耳にする言葉だが、それぞれ何を意味しているのだろうか。
普段、私たちが生活している地域の多くは、都市計画法によって「用途地域」が定められている。良好な住環境を守るため、コンビニなどが建てられない「第一種低層住居専用地域」から、最も規制の少ない「商業地域」まで、13種類もの区分で細かく分かれている(国土交通省の資料より以下の表を作成)。
第一種低層住居専用地域 |
第二種低層住居専用地域 |
第一種中高層住居専用地域 |
第二種中高層住居専用地域 |
第一種住居地域 |
第二種住居地域 |
準住居地域 |
田園住居地域 |
近隣商業地域 |
商業地域 |
準工業地域 |
工業地域 |
工業専用地域 |
その用途地域に応じて定められているのが「建ぺい率」と「容積率」だ。この2つの数字を見るだけで、おおよそどのような建物が建てられるか分かるようになっている。
「建ぺい率」も「容積率」も、敷地面積に対する%(パーセンテージ)で表されるようになっており、建築基準法によって定められている。新築の建設や所有物件の建て替え、中古物件の取得を検討しているオーナーは、その数字と意味することを知っておくことが大切だ。
「建ぺい率」とは、簡単に説明すると、平面で考え、敷地面積に対してどれくらいの割合で建物を建てられるかを指している。例えば、100㎡の敷地に対して、建ぺい率80%となると、80㎡までの建物しか建てられない。30%〜80%の範囲で制限が定められているのだ。
別名、〝ゆとり度〞とも称されるように、図Ⅰのように「建ぺい率」の数字が小さいほど隣り合う建物との間に空間が生まれ、ゆったりとした佇まいになるだけではなく、災害時の避難経路の確保や延焼の抑止など防災面から見ても住環境を整えることができる。しかし、逆に小さな面積の建物しか建てられないため、部屋の広さや戸数が限定されてしまう。
一方、「容積率」は立体で考え、敷地面積に対する建築可能な延べ床面積を指す。100㎡の敷地に対して建ぺい率80%、容積率400%の場合では、何階建てまで建てられるかは次のような計算式で求めることができる。
・400%(容積率)÷80㎡(建物面積)=5(階)
これにより、図Ⅱのような床面積80㎡で5階建も建てられることが分かるだろう。駅前のような商業地域は容積率が大きいため、ビルやマンションなど高層の建物を建てることが可能になる。
所有する土地の「用途地域」や「建ぺい率」、「容積率」について知るには、最寄りの自治体の担当部署で用途地域マップ(地図情報)を入手するか、一部の自治体ではインターネットから情報を得ることが可能だ。
「用途地域」は、駅前の再開発事業に伴う変更や、約5年に一度見直されるため、定期的に役所に足を運んで情報収集しておくことがおすすめだ。将来、建て替えをする可能性のある中古物件を購入する時には、「用途地域」の変更に伴い「建ぺい率」、「容積率」が変わり、同じように建てられない可能性もあるため注意が必要である。
また、所有物件がある地域がどうなるのかといった、今後の町づくりの計画を知っておくことは、オーナーにとって大切な情報になるだろう。というのも、賃貸経営は20年、30年に及ぶものであり、先を見据えた計画が必要だからである。
(Hello News編集部)
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