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2020.09.24

♯賃貸仲介・管理

実は多い外壁タイルの落下事故

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タイルが落下した直後の現場(写真提供:小野悠史さん)

2020年8月、ハローニュース編集部そばの賃貸マンションでタイルが落下する事故が起きた。頭上を見上げると、9階あたりのタイルが剥がれていた。しかも、落ちた場所は人の出入りが多いエントランスの目の前。万一に人が通ったタイミングだったら大変なことになっただろう。外観を見たところ、それほど古くは見えなかったことにも驚いた。


エントランス前には外壁の欠片が散乱(写真提供:小野悠史さん)


9階付近の外壁。タイルが剥がれ落ちている(写真提供:小野悠史さん)


後日、修繕工事が行われた(写真提供:小野悠史さん)

ビルやマンションのタイルが剥がれる落下事故だが、実際のところどれくらい起きているのだろうか。まずは、幸いにも人に直撃することがなかった落下事故から調べてみた。

2020年7月20日付けの上毛新聞によると、今年7月19日、群馬県前橋市のマンションの外壁が歩道に落下事故が発生。同県では7月6日にも館林市役所庁舎3階の外壁タイルが落下している(2020年7月7日付け上毛新聞)。また、2019年10月2日付の京都新聞では、京都府の舞鶴市役所の外壁も落下する事故が2019年9月30日にあったと報じている。同年5月には神奈川県横浜市にある市健康福祉総合センターの外壁タイル2枚がはがれ落ち、施設利用者の車の一部が破損している(2019年5月22日付け神奈川新聞)。

次いで、人がからむ落下事故を見ると、2016年7月7日付け朝日新聞では、2016年に大阪府浪速区でタイル落下事故が起き、女性が後頭部を打って軽傷を負ったとし、1989年の福岡県北九州市では、高層マンションの最上階から落下した外壁タイルが3人を直撃。2人が死亡、1人が重傷を負っている(国土交通省「建設省住宅局建築指導課長通達」より)。

「もちろん、ここで挙げた事故以外にも、新聞などのニュースに載らないものも結構あります」と、建設会社の社員は語る。

外壁落下事故の責任所在は

こうした事故が起きた際、責任の所在はどこにあるのだろうか。

建築基準法では、建築物の所有者、管理者、または占有者にあると定められている。また、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

つまり、オーナーや管理会社には、定期的な建物診断と、異常が見つかり次第、修理・補修をただちに行う必要があるということだ。

国土交通省では2008年、外壁タイル剥落事故の多発を受け「定期報告制度」を改訂し、外壁タイルの打診検査を義務化している。定期的な調査と報告を怠ると、マンション管理組合は罰則(100万円以下の罰金)の対象となる。

人ごとではないタイル落下事故。オーナーや管理会社は、今一度、修繕のタイミングについて考える必要があるだろう

(Hello News編集部 鈴木規文)

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