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COLUMN

コラム

2018.11.22

新しい暮らし方

全国114都市に広がるシェアサイクルってどんなの?

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シェアサイクルの普及が急速に進んでいる。今やシェアサイクルは、アメリカ、イギリス、フランス、中国など世界中の都市で利用することができるようになった。特に中国ではシェアサイクル業界に参入する企業が相次ぎ、競争が激化。日本への参入からわずか半年で撤退したシェア自転車大手ofo(中国)は、母国で破産もしくは支援企業のサポートで経営再建準備に入ったと中国メディアの界面が報じている。

では日本ではどのくらい普及が進んでいるのだろうか。国内では札幌、富山、横浜、東京など各都市で続々と導入され、114都市※1に広がっている。実証実験としてシェアサイクルを導入している自治体を含めると、その数は133都市にのぼる。
※1:国土交通省都市局「コミュニティサイクルの取組等について」

日本の行政機関が集中する千代田区でも、シェアサイクル「ちよくる」を導入している。ちよくるとは、千代田区内に点在する専用の自転車置き場(以下、ポート)を拠点に自転車を借りたり返却したりできるネットワーク型自転車シェアリングだ。運営は、NTTドコモが独立採算制で事業を手掛けている。区では自転車費用の補助や、ガードパイプ・白線などの安全維持費を負担することで、よりよいまちづくりができるようサポートを行っている。

現時点では実証実験の段階ではあるが、利用者数は増え続けている。2014年度のサービス開始時の登録者数※2は7,113人だった。それが2018年度には1カ月あたり8万2,918人とおよそ12倍近くに激増した。利用回数※2も、年間4万8,011回から53万8,237回とおよそ11倍になった。
※2:「千代田区コミュニティサイクル事業実証実験に係る効果検証・調査業務報告書(概要版)」

利便性向上のカギは相互乗り入れ

利用者が増えたきっかけについて、千代田区環境まちづくり総務課庶務課係の担当者は「周辺区と相互乗り入れを始めて以来、利用者数が右肩上がりで増え続けています」と説明する。

当初、移動可能エリアは千代田区内に限定されていた。しかし、2016年2月からは1度の会員登録で、千代田区・中央区・港区・江東区にあるポートであれば、どこでも借りて返却ができるようになり利便性が飛躍的上がった。そして、現在は新宿区・文京区・渋谷区・品川区・太田区も加わり、合計9つの区で乗り入れが可能となった。この区をまたいだエリア拡大により自転車の台数は541のポートに5,905台へと広がった。

「利用者にはそれぞれ生活圏があり、目的地に移動するために自転車を使っているだけなので、A区からB区に移動するという意識はあまりないと思います。区というエリアの垣根がなくなったことで、より使い勝手がよくなったと思います」(同課担当者)

各区がシェアサイクルを導入した当初から相互乗り入れを行うことは見越していたという。その後、各区が話し合いの場を設け運営事業者であるNTTドコモにシステム変更を依頼するなど調整にあたり、2016年に相互乗り入れが実現した。

75箇所で150円から利用可能

2018年11月時点で千代田区内には75箇所にポートが設けられ、800台の自転車が置かれている。自転車は、坂道でもラクに走れる電動アシストを採用。料金は利用頻度に応じて3種類から選べる。1回会員は、最初の30分が150円で以降は30分毎に100円が課金される。

続いて月額会員は、月額2000円の基本料金で1回30分以内の利用であれば何度利用しても追加料金はかからない。ただし1回の利用が30分を超えた場合は30分毎に100円かかる。

1日パスは1500円で当日中に返却すれば追加料金はかからない。支払い手段は、現金、クレジットカード、交通系ICカード、おサイフケータイ、専用ICカードなどがある。

30分以内の近距離移動に使われている

2016年2月に行われた利用者へのアンケート「千代田区コミュニティサイクル事業実証実験に係る効果検証・調査業務報告書」から利用者像を見ていく。

利用年代の内訳は、20代が24%、30代が31%、40代が29%、50代が13%、その他3%と、若い世代の利用が中心だ。

利用目的は、私事(買い物・飲食など)が一番多く、次いで業務・ビジネス、通勤、観光・レジャーの順で続く。30分程度の利用が多く、ちょっと移動したい時に気軽に利用されているようだ。

ちよくるを使う理由について、「歩くより短時間で移動できる」「公共交通での移動が不便だから」「自分の自転車を使うよりも駐輪等が便利」といった声があった。

また、利用の満足度に関しては、「満足」「やや満足」が全体の80%以上を占め、大半の利用者から好意的な支持を得ていることがわかった。

最後に、よく利用されるポートの月間利用回数トップ3(2018年9月)は、1位が東京国際フォーラム(6,423回)、2位が秋葉原公園(3,866回)、3位が永代通り(3,754回)となった。トップ3であっても、1位と3位に2倍近くの開きが出ており、場所によって一極集中していた。

課題もある。この一極集中により、あるポートのラックが満車になる一方で、自転車がない、もしくは1台しか置かれていないポートもあり、日時や時間帯によって各ポートの自転車の台数が偏ることがあるという。

「偏りをなくすために、運営事業者が週1回以上の割合で各ポートをトラックで見回り、自転車の量が均一になるように移動させています。また、利用者アンケートで、300メートルおきにポートがあると使いやすいことがわかりました。期限は設けていませんが、その間隔を目安にポートが設置できるよう場所の開拓を進めています」(同課担当者)。

また、もうひとつの問題として、ポート以外の場所に自転車を放置してしまう利用者が挙げられる。これについて、同課担当者は、「自転車にはGPSがついているため、ポート以外の場所に放置されていれば運営事業者側で場所を特定できます。場合によっては、放置した利用者へ連絡をとり、ご本人に移動をお願いすることもあります。利用者が移動できない、もしくは移動に緊急性がある場合は見回りトラックでの回収をすることもあります」と説明する。

オリンピック・パラリンピック時の新たな交通手段

今後は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた新たな交通手段として、さらなる利用者拡大を目指しているという。区は運営事業者と共同で、ポートの設置場所を開拓し利便性をあげていく他、毎年春に開催されるサイクルフェアなど各種イベントで会員登録会や利用相談会を行っている。また、シェアサイクルを普及させることは、オリンピック時の観光の活性化のみならず、利便性の向上、放置自転車対策、CO2排出量削減などにもつなげたいという。

出先などで自分の自転車がない時、シェアサイクルはとても便利な存在だ。都内には、鉄道や地下鉄の駅が多数あり、一見するとどこへ移動するにも便利なように見える。ところが場所によっては、乗り換えないと近くまで行けず、距離が近いわりに時間がかかるなんてことも珍しくない。そんな時に、自転車があればダイレクトに移動できるというメリットがある。ポートの増設や乗り入れエリアが増えることで、ますます便利になることを期待したい。

(Hello News編集部 須藤恵弥子)

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