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COLUMN

コラム

2019.05.09

♯民泊・簡易宿所♯町おこし♯離島

【前編】「島の発展は情報量に比例する」奄美大島発 町おこし物語

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それぞれが担う町おこしの役割

町おこしで成功している町には、必ずその中心に率先して汗をかいている人物がいる。

鹿児島県・奄美大島でいうなら、間違いなく彼らだろう。

「深田三兄弟」

長男・剛さんが社長を務める深田建設は、もともと父・俊和さんが創業した。

父の時代は、港湾、農道建設、河川工事など、いわゆる公共工事が中心の会社だった。民間の割合は1割にも満たなかったという。

剛さんは、2018年に父のバトンを継ぐ以前から、「公共は運頼みで経営にならない。自分で数字が作れる仕事がしたい」との思いを募らせ、少しずつ公共工事の割合を減らすべく舵を切る。

「エンドユーザーに近づくビジネスをする」という志操を固めると、「嫌われてもいい。下請けはやらない。エンドに近づくことで得られる情報やニーズがあるはず。それに応えたい」と自らを鼓舞した。

それを助けたのが、右腕、左腕として剛さんを支える二人の弟たちだった。

次男、深田小次郎さんは、同社のIT部門を担った。

「自前のメディアが当たり前になる」

東京でミュージシャンを目指していた2000年代、小次郎さんの胸には、いつもふるさとの景色があった。自宅のパソコンのデスクトップには、奄美のことを綴ったブログを貼り付け、それを見るのが日課だった。

ちょうど「地域ブログ」の人気が出てきた頃と重なり、パソコンの教室に通ったのち、これらのブログを集めた「地域ポータル」を立ち上げた。

実家を守る兄、剛さんは、早くから、「いずれ自社でメディアを持つのが当たり前の時代がくるだろう」と考えており、その思いに共感する形で小次郎さんがUターン。ポータルサイト運営を切り盛りしながら、島の情報配信部門を強化していく。

理念は、「島の発展は情報量に比例する」。

新しい記事が載れば、「行ってみよう」「食べてみよう」と思う心理が働く。

そうすると人が動き、経済が回り出す。経済が動き出せば、雇用が生まれる。出会いが生まれる。ご縁で繋がる人が増えれば、また経済に活気が出てくる。

実際、それに呼応する形で、旅行者が増え始め、2014年には東京(成田)—奄美大島直行便が就航。関西、名古屋路線もスタートし、LCC効果で若い旅行者や外国人旅行客が一気に増えた。

小次郎さんは、現在、深田建設IT事業部から独立・分業する形で「株式会社しーま」を立ち上げ、その代表として兄を支えている。

そしてもう一人の立役者が、三男の太郎さんだ。

太郎さんもやはり、一度は島を出て東京の暮らしを経験している。和食とイタリアンのレストランで、それぞれ5年シェフとして腕を磨いたイケメンだ。帰郷すると、深田建設に入社し、現在は専務として二人の兄を支えている。

「島に宿を増やしたい」

ここのところ、剛さんと太郎さんが特に力を入れているのが、民泊や簡易宿泊所に関連した事業だ。

空き家を活用する例もあれば、県外に住む投資家から依頼を受け、リフォームしたのちに運用する事例もある。もちろん自社で購入し、大掛かりな改修をして貸し出すケースもある。そのデザインや申請などを担うのが太郎さんの務めだ。

二手三手先を読む投資家は、数年前から奄美に進出しており、ここのところ、ロケーションの良い土地や建物の価格は右肩上がりだとか。

「少し前なら売りホテルの情報も結構ありました。今はもうほとんど買われてしまっています」(太郎さん)

「限られた場所、与えられた場所でどう生きるかが、島で生きる自分たちの宿命。その中でいかに、隙間や歪みを見付け出しビジネスチャンスに変えていけるかだと思います」(剛さん)

後半では、奄美における同社の民泊関連事業をレポートする。

(取材日:2019年4月6日土曜日)

(Hello News編集部 吉松こころ)

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