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COLUMN

コラム

2019.01.17

金融

アパートローンの借り換えサービス市場に異変あり。

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「かぼちゃの馬車」の株式会社スマートデイズが2018年4月、約60億円の負債を抱えて民事再生を申請したのは周知の通りだが、物件オーナー800名への賃料未払いは、総額23億円にも上り、今もなお裁判で係争中である。また、この問題が明るみに出たことで、同社に融資を行っていたスルガ銀行の不正が明らかになり、金融庁は同行に対して、以下のような処分を下した。

1.平成31年4月12日(金)まで、新規の投資用不動産融資の停止。
2.自らの居住部が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンの停止。
3.全ての役職員に対して研修を実施。
4.経営責任の明確化や業務運営態勢の確立を実施し、改善計画書の提出。

また、他行に対しても融資に関する立ち入り検査や、投資用物件への融資額のアンケートを実施するなど、引き続き調査を行うとし、過剰融資の抑制に動いている。賃貸経営と融資は切っても切り離せず、今後銀行がどう動くかについては多くのオーナーの気になるところだ。

アパートローンの動向について、元・みずほ銀行行員で、現在シニア向けに様々な相談会を実施しているシニアライフよろず相談室の檜垣圭祐さんは、次のように語る。

「相続税対策ニーズの高まりの中で、金融機関は近年、急速にアパートローンを伸ばしてきました。しかし、将来的な人口減少や空室率の上昇傾向、さらにはスルガ銀行の不正融資問題もあり減速しています。また、金融庁が監督姿勢を強めていることで、今後も多くの地方銀行が融資の審査を厳しくするでしょう。融資環境はますます厳しくなっていくものと思われます」

借り換え前に利回りを向上させる

金融庁と日本銀行が「今後の動向について注視が必要」とし、2016年9月に監視を強化すると発表したおよそ2カ月前の2016年7月、アパートローンの借り換えサービスを行う株式会社デベロップメントドクター(東京都港区)が設立された。

デベロップメントドクターが提供するアパートローンの借り換えサービスのコンセプトは、「不動産×医者」。「月々の返済を軽くしたい」「少しでも収入を増やしたい」という希望に応えられるよう、借り換え等を含めた最適なローンを提案している。

同社代表取締役の藤森龍一さんは、昨年2月に行った当社のインタビューに際し、「借り換え前に利回り向上のご提案をすることが弊社の特徴です」。続けて「実はこの点が借り換えビジネスの肝なんです」と語った。例えば、空いているスペースがあればコインパーキングや、自動販売機を設置する。その結果、物件全体の収益性があがることで、銀行の印象が良くなり、借り換えが成功しやすくなるという仕組みだ。

実際、自動販売機を外部委託で設置したオーナーは、月々3000~4000円の利益を得られたり、照明をLEDに電球に交換したことで、月々5,000円程度の削減ができたりしている。こうした施策によって、電気代を35%下げたり、管理費が30%下がったりし、結果、利回りを高めている。

同社に持ち込まれた借り換え案件の成功率は、かぼちゃの馬車問題の前までは10%程度だったが、スルガ銀行の不正融資が表面化した後は、5%まで下がってしまった。また、相談内容はスルガ銀行から他の銀行への借り換えが最も多かったが、今ではスルガ銀行からの借り換えをNGにしている金融機関が多数あり、苦戦を強いられている。スルガ銀行抵当の物件を所有しているだけで、借り換え依頼の持ち込みすらできないところもあるのだ。

藤森さんはこの状況に対して「断られることが多い一方で、一部の金融機関は、今がチャンスとばかりに積極的に借り換えに応じていただいています」と言い、続けて「スルガ銀行で借りていた方でも金利交渉に成功したオーナーさんはたくさんいらっしゃいます。多くの方が4.5%から3.5%、もしくは3.1%に下がっています。金利交渉は今がチャンスかもしれません」と語った。

同社の収益源は、借り換え時に発生した差額の10%分を成功報酬としてユーザーから得ている。そのため、銀行側から手数料を取らずに済むことで、オーナーには多くの選択肢の中から選ぶことができるというメリットがあるという。

自身の経験からビジネスモデルを確立

こうしたビジネスモデルを発案した背景には、藤森さんの経歴が関係している。関西大学を卒業後、大手オフィス機器の製造・販売会社の営業職に就職。25歳の時に、自分の資産を増やしたいと考え、「株に手を出すのは怖かったので、不動産投資を選びました」と、副業としてオーナー業を始めた。また、「有名な大家になって本を出したい」と目標を立て、Webサイトでコラムを書き続けた。すると、ファンができ、仕事の依頼が届くにようになった。そこで藤森さんは、株式会社アシタクリエイト(東京都渋谷区)での管理費見直し業務を行うことに決めた。ここでは、1棟所有オーナーに向けて、利回り向上の提案を4年間続け、800棟もの利回り改善に関わったという。こうした経験が、ただのアパートローンの借り換えではなく、借り換え前に利回り向上を提案することで、借り換えの成功率を高められるというビジネスモデルに繋がったのだ。

「収益率アップに、コイン精米機はオススメですよ。月数千円だけど、しっかり利益はでる」

例えわずかだとしても、利回りが向上し、借り換えしやすい環境を作れるならばと、藤森さんは日々、利回りを向上させる施策を模索している。

(Hello News編集部 鈴木規文)

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